【4月企画展開催予告】ギャルリー・アルマナック吉祥寺「ミュシャ展 ~パリ時代の作品を中心に~」

 

「ルフェーブル=ユティル社ビスケット」(1896年 リトグラフ) 「四つの芸術:絵画」(1898年 リトグラフ)

こんにちは。
ブログをお読みいただきありがとうございます。

少しづつですが、暖かな陽気を感じる日々が増えてきましたね。
昨日の祝日は「春分の日」。
古来より、春の訪れを祝う日とされていますが、法律上では「自然を称え、将来のために努力する日」と定められているそうです。

眠っていた動物が目覚め、草花が息吹き、逞しい生命の鼓動が自然界に聞こえる季節。
来月のギャルリー・アルマナック吉祥寺では、悦び溢れる春の訪れに今年も感謝し、自然を尊ぶにふさわしい特別展をご用意いたします。

桜の花びらで敷きめられた4月の清水寺の池


今月初めより国立新美術館でスタートした「ミュシャ展」。
本展覧会の目玉となっている晩年の巨大連作”スラブ叙事詩”の他、華やかな装飾的画風で一世を風靡した、いわゆる”アール・ヌーヴォー”時代の作品も多数出品されています。
彼自身は、自らの作品を「アール・ヌーヴォー芸術」とは無縁だと信じていたそうですが、やはり、「ミュシャ」と「アール・ヌーヴォー」。
両者は分かちがたい関係にあったと言えましょう。

その最大の共通点は、植物や生物など有機的なモチーフを用いて作り出す曲線的な造形。
例えば、垂れ下がるあやめの花弁や弧を描いて伸びるススキの穂、雪の重みでしなやかに曲がる樹木の枝にちくりと鋭いアザミの棘。
ミュシャはそうした自然界の事象に美的感覚を発見し、忠実な自然観察に基づきながらも、曲線や文様をを巧みに組み合わせて全く新しいデザインを構成していきました。

アール・ヌーヴォー芸術特有のこうした表現はミュシャの他、ほぼ同時代に活躍したエミール・ガレやウィリアム・モリスの作品にもみられます。

ミュシャ「夢想」 ガレ「ひなげし」 モリス「いちご泥棒」

しかし、ミュシャをアール・ヌーヴォー芸術に唯一無二の存在とならしめたのは、活き活きとした草花に溶け合うように描き上げられた女性たち。
ゆるやかなドレープの衣をまとった天女のような女性の美しくたおやかな身体のラインや、持て余したようにたなびくたっぷりとした巻き髪が、草花たちと絶妙に調和し、作品に秩序と一体感を生み出しているのです。

自然への賛歌を惜しみなく表現したアルフォンス・ミュシャの芸術。
来月のギャルリー・アルマナック吉祥寺では、その真髄を余すところなく伝えた「ゾディアック」や連作「四つの花」、連作「四季」などミュシャの代表作を中心に、パリ時代に手がけた約50点のポスターや装飾パネルを展示・販売いたします。

今月の企画展「ミュシャ展 小品版画特集」とはまた違った魅力の作品をご堪能いただけます。
どうぞお楽しみに!

(R・K)