【3月企画展開催予告】ギャルリー・アルマナック吉祥寺「ミュシャ展」

「四つの花 四点組」(1898年 リトグラフ)

 

こんにちは。
ブログをお読みいただきありがとうございます。

そして、日頃より当店をご愛顧いただくお客様、いつもありがとうございます。
活気に溢れる吉祥寺の商店街のほど近くに位置する当ギャラリーには、ご近所にお住まいの方、商店街をお散歩中の方、学生さんや若いカップルさんなど、本当に様々な方々にお越しいただき、毎日楽しい出会いがあります。
美術についてよくご存知の方もいれば、よく知らないという方もいらっしゃいます。

そうした方々とお話をしていると、たびたび受ける質問。
「アール・ヌーヴォーとアール・デコってどう違うんですか?」

両方ともヨーロッパにおいて流行した美術様式のことですが、前後の時代背景や文化・宗教・政治的因果関係まで含めれば長い答えになります。
ですが、両者の違いを店頭で簡潔にお答えする場合、

「アール・ヌーヴォー」は、動植物など自然のモチーフを主題に曲線や装飾性を強調したデザイン。
「アール・デコ」とは、直線や幾何学的な模様を多用し、機能的な美しさを重視したデザイン。

というようなご説明をいたします。
テーブルランプを例に比較してみると、分かりやすいでしょう。

アール・ヌーヴォーデザイン

アール・デコデザイン

また、店内でのご説明の際に具体的な「アール・ヌーヴォー」の例としてご紹介するのがアルフォンス・ミュシャの作品たち。
アール・ヌーヴォーの代表的なモチーフである花々や草の蔓が重なり合い、まるで美しいデザインのハーモニーが奏でられているような作風が特徴的です。

「夢想」(1897年 リトグラフ)

 
しかし、アール・ヌーヴォー芸術を牽引したミュシャが、他の画家たちと決定的に違った点。
それは、単に草花や自然界の事物を題材にしただけではなく、女性がまとう宝飾品や身体の曲線美、風にたなびく髪や流れるようなドレープの衣装までもを、それらと調和させた美しいアール・ヌーヴォー芸術に昇華させ、完璧な装飾性を生み出したこと。

描かれた一つ一つのモチーフやデザインが共鳴し合い、多くの細かな装飾が散りばめられながらも作品全体に統一感をもたらしているように感じます。

ミュシャの制作した視覚効果の高い作品は19世紀末当時大反響を呼び、企業や商品の宣伝を目的とした「商業ポスター」というジャンルは一躍”芸術”の域にまで高まりました。
ミュシャが”グラフィックアート”の先駆者とも呼ばれ、現代にもいまだ大きな影響を与える存在である所以はここにあるのでしょう。

その美しい作品たちが今春、国立新美術館で開催される「ミュシャ展」で披露されるそうです。
今回は、華やかな商業ポスターの作品のみならず、人類全体の平和と人間性の進化を願ったミュシャが晩年に手がけた20点の巨大連作”スラヴ叙事詩”のチェコ国外での初公開の場ということもあり、特に高い注目が集まっています。

その開催を記念し、ギャルリー・アルマナック吉祥寺でも来月、ミュシャを特集。
単独のミュシャ展としては、およそ1年半ぶり。新入荷の作品を多数含む約40点を展示販売いたします。
来月の企画展をどうぞお楽しみに!

※弊社が扱う作品は全て、ミュシャが生前に手がけたオリジナル作品です。

ミュシャ所蔵作品一覧はこちら

前回のミュシャ展の様子

(R・K)