花道や奈落の秘密?国立劇場の舞台裏見学ツアー


こんにちは。
ブログをお読みいただきありがとうございます。

さて、平賀源内と言えば、地質学者や蘭学者にして医者。
さらに作家や画家、発明家、俳人などありとあらゆる方面での活躍が知られる江戸時代のスーパーマンです。
浮世絵の錦絵も彼なしでは生まれなかったとさえ言われています。

その平賀源内が手がけた歌舞伎劇があるのをご存知ですか?
ペンネームである福内鬼外の名で浄瑠璃や文学作品を元に脚本を書いたのが「神霊矢口渡」。
今月、国立劇場にて上演されている演目です。

先日縁あって、この「神霊矢口渡」を観劇。
初代中村吉衛門氏が演じてから100年ぶりに当代の吉衛門氏が挑む役柄や、観客を飽きさせない舞台転換、息の合った義太夫節など見所満載でした。

さて、この日のお楽しみのもう一つが鑑賞後の舞台裏見学ツアー。
公演終了後、20分ほどして再び座席に戻ると・・・・

ついさっきまで役者が演じていた舞台にあった大道具や小道具はあっという間に姿を消し、がらんどう。
公演が終わるとすぐに専門スタッフが手際よく空の状態に戻し、翌朝にその日の公演準備をするのだそうです。


 
①まず、案内されたのは歌舞伎と言えば外せない花道。
そして、舞台から客席はこのように見えます(右下写真)


②舞台の上手と下手の奥には各20mもの幅があり、ここに多くの大道具・小道具が収納されます。
そして上に吊られているのは背景パネルなど。
客席から見える舞台空間は、ほんの一部であることが分かります。


③こちら(左写真)は、役者が踊りを披露する際に敷かれる檜板。
何気なく積まれていますが、一枚あたり車一台の価値があるんだとか。
右写真は長唄や鳴物が演奏される場所で、下手の舞台端にある「黒御簾」の内部。
客席からは中が見えませんが、中からは客席や舞台がよく見えますね。


④舞台中央の床が大きく回転する廻り舞台も見ものです。
実際に回転しているのは、舞台表面だけでなく地下何mにも及ぶ巨大な円柱。
左は地下に行って案内されたその床下部分、通称「奈落」。機材や装置が多く並び、とても危険な作業です。
長いパイプが連なる空間は、花道の真下。
華やかな表舞台からは想像もできない空間です。

これら以外にも、様々な仕掛けや場所があり興味の尽きない舞台裏。
何よりも、一つの舞台をスムーズに進行させるために、観客席から見えない場所で汗を流すスタッフの方々の苦労と努力を改めて感じた大変貴重な体験でした。

(R・K)

芸術の話

Posted by blanca