オールドノリタケ 各種「セロリセット」のご紹介

(ノリタケHPより)

こんにちは。
ブログをお読みいただきありがとうございます。

色とりどりの壺や花瓶を荷台に乗せ、何やら賑やかな行列の様子が描かれたこちら。
右上の余白部分には英語でREMOVAL NOTICEと書かれていることから、何かの移転の告知・・・でしょうか。

そうなんです。
実はこちらは日本の陶磁器会社ノリタケ社が、当時前身である貿易商社「森村組」の名でニューヨークで営んでいた商店の移転案内。
19世紀末、日本の開国に伴って欧米を席捲した空前のジャポニスムブーム。
森村組はそうした最中の1876年に商店を開業し、日本の陶磁器や漆器、扇子や屏風などの直輸入販売で大繁盛しました。

店舗がすぐに手狭になり何度も移転を繰り返すほど大きく業績を伸ばした森村組。
こちらのチラシは1902年12月時の移転の告知として配られたもので、ニューヨークに向かう船への荷積みに向かう華やかな行列がその順調な経営を物語っているようですね。


その後、小売商から洋食器を自社製造する会社へと転身した森村組。
白磁生産の研究開発に苦心するも、ついに1914年日本初の洋食器セットの製造販売に成功。

以降、日本陶器合名会社と社名も変更し、創業者・森村市左衛門が社訓とした誠実な経営、高い職人技術や技法、時代の先を読む先見性を忠実に守り、100年以上の長きにわたり現在まで上質なテーブルウェアを発信し続けています。

日本初の洋食器セット「セダン」(ノリタケHPより)

さて、この森村組(日本陶器合名会社)が第二次世界大戦までに制作し、欧米に輸出したものが一般に「オールドノリタケ」と呼ばれるもの。
ノリタケの名は日本陶器合名会社が本社を置いた、愛知県名古屋市の則武という地名にちなんでいます。
世界中に熱心な蒐集家も多い稀少な「オールドノリタケ」時代の作品から、今回は「セロリセット」をご紹介しましょう。

ラスター彩シノワズリセロリセット(1924-35年頃)

「セロリセット」とは、長皿に愛らしいサイズの豆皿が数点付いたもの。
オールドノリタケでも特に人気が高いコレクションの一つで、長皿にはフレッシュなセロリを並べ、豆皿に塩やディップを載せて楽しまれたそうです。

よくお客様から「何故セロリなのか」と聞かれるのですが、それは1900年頃の欧米でセロリが大変高価な食材であったという事実に関係します。

特に、セロリは裕福な人々が賓客をもてなす際に、もてなす側の富裕の証として晩餐会などでよく提供されていた食材。
18世紀頃より流入された中国青磁/白磁や19世紀末のジャポニスムブームの影響により、東洋の陶磁器やエキゾチックな文様は非常に高い人気がありました。
きっとこのセロリセットも賓客の目と舌を楽しませるものとして、大いに活躍したことでしょう。
今はどこのスーパーマーケットにも売られていますが、セロリやチョコレート、砂糖などは100年ほど前までは高級食材だったのです。

セロリを実際に提供してもてなす以外にも、セロリを模したデザインのグラスで賓客を歓待することも多かったとか。
美しく斬新なデザインが目を引きますね。

オールドノリタケのセロリセットはデザインや形状がバラエティに富み、見ていてとても楽しいコレクション。
サラダや寿司、惣菜などセロリ以外の用途にも幅広くお使いいただける作品です。

ご興味ある方は是非吉祥寺のギャルリー・アルマナックまでお越しくださいませ。
お電話(0422-27-1915)またはこちらからもご質問など受け付けております。

格子文セロリセット(1921-41年頃) 橙花文セロリセット(1921-41年頃) 黄緑花文セロリセット(1921-41年頃)

その他のオールドノリタケはこちら

(R・K)