パナソニック汐留ミュージアム「ルオーとフォーヴの陶磁器展」


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あのピカソやルノワール、モディリアーニや藤田嗣治など枚挙に暇がないほど数多くの芸術家が参加し、100年以上の長きにわたりフランス・パリで開催されている美術公募展「サロン・ドートンヌ」。
“秋季展”の意味を持つ通り毎年1回秋口に開催され、この場での活躍がその後の未来を左右するフランス画壇の登竜門と知られています。

産声をあげた1903年は、20世紀の幕開けとともに、より自由で前衛的なアートが求められた新しい時代。
保守的で変化を好まない芸術アカデミーが主催する官展(サロン)では正当に評価してもらえないことに反発した若手芸術家が、自由で革新的なアートを発信する目的で結成したのです。

創造性や新鮮さを求めるサロン・ドートンヌである時期注目されたのが「陶芸」。
絵画や彫刻などに比べなかなか脚光を浴びにくい芸術分野ですが、実はピカソやマティス、デュフィなど多くの画家が陶芸に意欲的に取り組んでいます。

また、芸術が一般市民の生活にも浸透していたこの時代、名画商のヴォラールは、花瓶や皿など生活に身近な陶芸に可能性を見出し、マティスやルオーなど才能に溢れた若き画家に絵付けをさせる新たな芸術に挑戦します。

彼らが通ったのが陶芸家アンドレ・メテの工房。
メテがこの時期傾倒していたのが、黄土色の土に白い錫釉をかけたファイアンスと呼ばれる陶器。
高級感のある光沢が特徴のこの焼き物に、画家が絵付けを施すことで新しい形の芸術が誕生しました。

こうした焼き物の美しい作品たちを集めた美術展「ルオーとフォーヴの美術展」が、汐留にあるパナソニックミュージアムで開催されていました。

キャンヴァスから花瓶や皿に支持体が代わっても、画家の強い個性は変わらず発揮されるのが面白いところ。
また、メテとの作品制作に積極的に関わったフォーヴィズムの画家たち特有の明るい色彩が、シンプルな造形の焼き物に映える強いインパクトを放っていました。

ちなみに、こちらはデュフィが手がけた陶芸作品の一つ。
絵付けだけでなく、陶芸も全て自身で制作しています。

同じ芸術といえどもこうした創作活動は画家にとって、普段行うキャンヴァスでの創作とは異なる感覚や、新たなインスピレーションを受ける源にもなったのでしょう。
本日は、巨匠たちが残した知られざる傑作をご紹介しました。

(R・K)