Wiener Secession ウィーン分離派

こんにちは。
ブログをお読みいただきありがとうございます。

本年2019年は日本オーストリア友好150周年を記念した催しが多数行われています。

オーストリアと言えば、まず音楽の国。
また、西洋美術ファンの皆様にとっては、古典から近代美術までを堪能できるウィーンの美術館群はとても魅力的ですね。

19世紀末ウィーンが生んだ最大の画家、グスタフ・クリムトが結成した<ウィーン分離派>に関する展覧会が東京で複数開催中。

東京都美術館「クリムト展 ウィーンと日本1900」(~7/10、その後 豊田市美術館へ巡回)
国立新美術館「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」(~8/5、その後 大阪の国立国際美術館へ巡回)

 

残念ながら去る6/9で終了してしまいましたが、目黒区美術館「世紀末ウィーンのグラフィック」展も素晴らしい内容でした。
京都国立近代美術館からの巡回で、同館所蔵の充実したコレクションを堪能できました。


ウィーン分離派の専用展示館として建設された分離派会館(設計:ヨーゼフ・マリア・オルプリヒ)の正面には
“DER ZEIT IHRE KUNST, DER KUNST IHRE FREIHEIT”
(時代にその芸術を 芸術にその自由を)
という理念が掲げられています。


自由を求めた芸術家たちの活動は大作だけではなく、蔵書票や絵葉書、書籍、版画など身近な作品に及んでいたことを体感。

 

一方、上野の「クリムト展」では、およそ2m×34m の「ベートーヴェン・フリーズ(原寸大複製)」の迫力に圧倒されました。
ウィーンだからこそ実現した、音楽と美術の融合を追体験するという贅沢なひとときを愉しめます。
(会場内にベートーヴェンの交響曲第9番が流れています)

画像クリックで詳細ページへ

弊社では、この「ベートーヴェン・フリーズ」の<歓喜の歌>の部分下絵素描を複製した版画をご紹介しております。

この他にもクリムトやシーレの原画を元に制作された良質な版画を吉祥寺店で特集展示中。
これらの作品はオーストリアの有名な工房によるもので、質感も含め原画を忠実に再現しています。
ぜひこの機会にご覧くださいませ。

詳しくはこちらからどうぞ


クリムトに関する映画も興味深いものばかり!
2018年に製作されたイタリアの美術ドキュメンタリー「クリムト エゴン・シーレとウィーン黄金時代」はシネスイッチ銀座で公開が始まりました。
2006年の「クリムト」はジョン・マルコヴィッチがクリムトに扮した伝記映画。

先日、実話を元にしたフィクション、「黄金のアデーレ 名画の帰還」(2015年)を鑑賞しました。

「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像」を含むクリムトの5作品を本来の所有者であるアデーレの姪がオーストリア政府を相手に返還訴訟を起こすという物語。
ウィーンのユダヤ系上流市民であったゆえにナチスの迫害を受け、不当に財産を没収されたことから悲劇は始まります。
芸術の金銭的価値、作品を個人所有することの功罪など様々な問題を含んでおり、とても考えさせられる一本でした。

この好機を逃さず、皆様もぜひウィーンの世紀末芸術に浸ってみてください。


(K・T)