7月は「モーリス・ユトリロ展」を開催予定です

ピカソが書いたポストカード

こんにちは。
ブログをお読みいただきありがとうございます。

先日、あるオークションに出品された一枚のポストカードが約2300万円で落札されたという驚きのニュースが話題になりました。
そのカードの送り主は、パブロ・ピカソ。
パリの友人アポリネール宛てでしたが、スペイン語で書かれた宛先のため返送されてしまったんだとか。
カードの日付は1918年9月5日。
アポリネールが約2カ月後の同年11月9日に38歳の若さでスペイン風邪により亡くなったことを考えると、もしかしたらこのカードはピカソからの見舞いの便りだったのかもしれません。


 

当時のポストカード

このカードが書かれた時代、特に19世紀末から20世紀初頭はポストカードの黄金期。
誕生日やクリスマス、新年など時節に合わせた多種多様なカードが登場。
また写真技術が開発されて以降は、街なかの風景写真を印刷したカードが特に人気を博しました。


 

ポストカードを元に制作されたユトリロの作品

パリ・モンマルトルを描き続けた画家モーリス・ユトリロは、作品制作の参考にそうした風景写真のポストカードを用いたことで知られています。
生涯、アルコール依存症に悩まされたユトリロは、泥酔し奇行を繰り返すことも数多く、戸外にイーゼルを立てての制作はなかなか困難でした。

しかし、ユトリロ作品のほとんどはモンマルトルの街並みを舞台にした風景画。
彼は、手渡された風景写真のポストカードと脳裏に焼きついた愛するモンマルトルを頼りに、入院先の療養所や室内のアトリエで、黙々と制作に励んだのです。


ギャルリー・アルマナックの7月の企画展は、この孤高の画家モーリス・ユトリロを約1年ぶりに特集。
ユトリロが制作した油彩画から版画まで約30点を一堂に展示販売予定です。

激動の人生の中でユトリロが生み出し続けた穏やかで静謐な世界は、私たちの心を揺さぶる切ない美しさに溢れています。
来月の展示を是非お楽しみに!

当店のユトリロ取扱作品はこちら

(R・K)