美術館を舞台にしたドキュメンタリー映画が続々!

 

こんにちは。
ブログをお読みいただきありがとうございます。

近頃公開されたこれらの映画作品。両作品とも、その主役は国を代表するヨーロッパの国立美術館。
美術館の表舞台や裏舞台で繰り広げられる良くも悪くも”リアル”な姿を通して、観客が真の美術館体験ができるドキュメンタリームービーです。

「みんなのアムステルダム国立美術館へ」
全面改修のため、2004年に4年間の予定で一時閉館したオランダの美術館に密着。
しかし、市民との論争や資金難、内装家との意見の相違など度重なるトラブルでリニューアルオープンはどんどん延期になり・・・
そんなドタバタ劇の中でも、学芸員や市民が自国の美術を愛し必死に守ろうとする想いが伝わる一本です。

「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」
御歳85歳を迎えたドキュメンタリー映画の巨匠、フレデリック・ワイズマンが舞台に選んだのは、最高峰の美術作品を擁するイギリスのナショナル・ギャラリー。
学芸員によるギャラリートークから修復家による科学的アプローチ、予算会議、番組の撮影風景、企画展のレセプションパーティまで美術館で起こる日常の風景を追いかけながら、巨匠たちの芸術作品に酔いしれることができる一本。
なかでも印象的だったのは、ロイヤル・バレエ団のプリンシパルがティツィアーノ作品の前で舞うラストシーン。
青白い光が差し込む静謐な展示室に、踊る二人の息づかいと床板の軋む音が重なり妙に心に残るシーンでした。
ワイズマンの美的センスに感服!

と、両者の切り口は異なりますが、鑑賞後はまるで現地にいたかのような臨場感に浸れる内容でした。


ドキュメンタリー映画の中でも特に、こうした「美術館」にフォーカスした作品が話題になっている最近。 

今月末からは歴代ローマ教皇のコレクションを擁するヴァチカン美術館を舞台にした映画が公開されるようですね。
本作では、世界で初めて高精細カメラが美術館内部に潜入。
現地でも間近で見ることの難しい天井画や壁画を大迫力のスケールで、しかも3D鑑賞も可能。
11日後に迫った公開が待ち遠しい一本です。
 

美術館がメインの作品ではありませんが、
最後にお薦めのアート系ドキュメンタリー映画をご紹介します。

「ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人」
NYで生活する主人公のハーブとドロシーは、ミニマル、コンセプチュアルアートを主体に美術収集を続ける公務員の老夫婦。
① 給料で買えること、と② 1LDKアパートに収まること、の2つの条件を守りながら30年以上に渡り、その知識と感性を生かし5000点にも及ぶ現代アートのコレクションを築き上げています。
国立美術館が驚愕し、コレクション寄贈を打診するほど高い審美眼を持つ二人への畏敬と、途中途中に垣間見える二人のお茶目な愛らしさが入り混じる素敵なドキュメンタリー映画です。

この「ハーブ&ドロシー」、監督を務めたのは何と日本人女性。
前出の「みんなのアムステルダム国立美術館へ」も女性監督により製作されているそうで、元岩波ホール総支配人の高野悦子氏(詳しくはこちら)が目指した「女性映画監督が活躍する社会」がどんどん実現されているようで嬉しくなりますね!

(R・K)