Pina Bausch-ピナ バウシュ-

 

こんにちは。
ブログをお読みいただきありがとうございます。

ピナ・バウシュ(Pina Bausch)というドイツの舞踊家・振付家をご存知ですか?
幼少より現代ダンスの巨匠に師事し、芸術大学の舞踊科を首席で卒業。
数々の著名なバレエ団で経験を積んだ後芸術監督に就任したヴッパタール舞踊団を2009年に68歳で亡くなるまで率い、ダンスと演劇の垣根を越えた「タンツテアター(Dance Theatre=ダンス演劇の意)」という新しい表現ジャンルを確立。
次々と革新的な作品を発表し続けたドイツの伝説的女性です。

彼女の作りだす作品世界は、一度見たら忘れられません。

それは日常の一瞬を切り抜いたような親近感と、非日常の異空間にいるような不安感・違和感が同居する独特の世界。
個の人間の持つあらゆる感情を、身体や舞台美術を通して演者が表現するのですが、その解釈は一義的でなく観る者の解釈に委ねられます。

見どころの一つが空間の演出。
ある時には車の行き交う交差点、高い崖の上、トンネルなどの戸外が舞台になり、またある時には大量に撒かれた土、大きな岩、激しく降る雨、敷き詰められたカーネーションが屋内舞台に出現するスケールの大きさ。
がらんとした教室や鄙びたカフェの舞台に漂うのはどこかノスタルジックな雰囲気。
そして、こうした巧みな空間演出に共鳴する卓抜した技量のダンサー達のソロや群舞。
時折混ざり合う、日常的な身振りや会話など、ピナの作品には普通の人間の営みの断片が入り乱れます。
それゆえ、彼女の切り開いた「タンツテアター」という表現様式は、革新的で衝撃的でありながら、型破りなだけでない妙に誰もがつながりを感じる「生」があるのです。

私がピナ・バウシュについて知る契機になったのは、とあるピナ作品の劇中曲を偶然聞いたことなのですが、この曲というのは日本の作曲家三宅純氏の手がけた「Lilies of the Valley」でした。
生前のピナはファッションデザイナーの山本耀司氏や音楽家の坂本龍一氏とも親交が深かったそうで、分野は違えど同じ芸術の世界でお互いに影響を与え合っていたようですね。

「踊ること。それは”生きる”こと。」
「踊りなさい。踊りなさい。自らを見失わないように。」

言葉や文字を凌駕した肉体表現。
誰しもが感じる人間としての不自由さや束縛から逃れ、自由にありのままに、生を存分に解き放つダンサーたちが魅力的でした。

 

マティス「なびく髪のダンサー」

 


絵画や陶磁器と同じ「芸術」という世界でも普段はなかなか直接的な結びつきのない舞踊や演劇の世界を本日はご紹介させていただきました。

たまには演劇やダンス、音楽などの「瞬間芸術」も良いですね。

(R・K)

芸術の話

Posted by blanca