軽井沢安東美術館を訪ねて

ブログをお読みいただきありがとうございます。

軽井沢に藤田嗣治の美術館が誕生するというビッグニュース、ご存知ですか?
<軽井沢安東美術館の公式ホームページはこちら

(軽井沢安東美術館HPより)

 

待望の開館日は明日10月8日(土)ですが、先日オープン前の内覧会にお邪魔させていただきました。

軽井沢大賀ホールを擁する矢ヶ崎公園のすぐそば。
軽井沢駅から歩いても行ける立地でアクセスも良好です。

安東美術館の所蔵作品は投資ファンド会社の経営者、安東泰志氏が蒐集したもの。
その数なんと180点以上!
元々は六本木と小金井のご自宅に飾られていたというのが驚きです。
弊社もかねてよりご縁をいただき、絵画、版画、挿画本、図書などをお届けさせていただきました。

館内で、かつての安東邸を映したムーヴィーを見ることが出来ます。
安東夫妻がいかにひとつひとつの藤田作品を愛し、家族のように大切にしてきたのか、言葉を介さずともその映像を見つめるだけで伝わってきます。

家で過ごす時間が増えている昨今、自分の好きな絵を飾ることの意義が以前より大きくなっているように思えます。
ご自宅でのくつろぎの時間と空間をどう彩るかはそれぞれのご家族、個人でまったく異なるものですが、当ブログをお読みいただいている皆さまはきっと美術品が持つ魅力をご存知でしょう。

安東夫妻のように、お気に入りの作品と出会い、それを愛でることは人生を豊かにする方法のひとつに違いありません。

藤田作品の撮影については厳しい決まりがありますが、「少女と猫の世界」と題された展示室5に限り、開館から半年間は撮影OKとのこと。

ここに1929年に出版された銅版画集『猫十態』の10点が勢ぞろいしていました。
藤田の猫の絵の最高傑作と評価される11匹の猫たちの愛らしさに笑みがこぼれます。

独特の乳白色を背景にした猫たちは、肉筆画と見間違えるほど。
版画職人ルイ・マカールが、さまざまな技法を併用して仕上げたと伝えられています。
母猫と子猫の家族愛、丸まって眠る子猫のあどけなさ、気品あるポーズをとるモデルのような猫…
柔らかそうな毛の一本一本まで丁寧に描き出す繊細な筆致に心を奪われます。

「安東邸を再現」したというこの部屋の居心地の良さは格別ですが、宗教画が集う礼拝堂を模した展示室や、第二次大戦下刊行の書籍、寄木細工のテーブルや陶磁器、ガラスへの絵付けなど見どころが沢山。
美術館全体にご夫妻のあたたかなおもてなしの精神があふれ、時が許す限りいつまでも滞在したい、そんな気持ちが込み上げてきました。

この日はさわやかな秋晴れで、美術館の中庭からはうろこ雲が見えました。
自然に囲まれながら、偉大な芸術家と向き合うという贅沢なひとときを堪能しました。

La Maison Atelier Léonard FOUJITA
(ovninavi.comより)

パリ南郊のヴィリエ・ル・バクルにある、藤田が晩年を過ごした家を訪れた際、安東氏は美術館建設を心に決めたそうです。
自然の中で制作に没頭した画家への最高級のオマージュである世界初のフジタ・ミュージアムは、あらたな安東邸であり、また、あらたなメゾン・ド・フジタでもあると感じました。



紅葉の軽井沢はこれからが本番。
美術館でフジタの芸術に浸った後は軽井沢散策もお楽しみください。

弊社ギャラリー、アトリエ・ブランカ軽井沢にも足をお運びいただければ幸いです。
藤田嗣治を筆頭にエコール・ド・パリの画家の作品を取り揃えております。(詳細はこちら
皆さまのくつろぎの時間と空間がさらに豊かになりますよう、お手伝いさせていただきます。

(K・T)