イカール挿画本「椿姫」のご紹介

歌川広重「雪中椿に雀」

こんにちは。
ブログをお読みいただきありがとうございます。

毎日厳しい寒さが続きますね。
そんな冬の季節と言えば、この花を思い浮かべませんか?

古来から日本の花木であり、日本人には馴染み深い「椿」。
伊藤若冲や尾形光琳、竹久夢二など多くの芸術家を惹きつけてきた画趣に富んだ名花です。
特に私は、降り積もる純白の雪に映える真紅の椿という、冬の情景を描いた歌川広重の作品が好きです。


ところで、この日本原産の椿。

鎖国中の日本と唯一通商のあったオランダの商館員が17世紀に書籍で初めて紹介し、ヨーロッパに広まっていきました。
その後、椿(英語名はCamellia)は19世紀になると園芸植物として流行。
作家のアレクサンドル・デュマ・フィスは椿を愛する女性を主人公に小説を執筆し、この物語を戯曲化した演劇「椿姫」は、今なおオペラの金字塔として光り輝いています。

物語の主人公は、その花を愛するが故に「椿姫」と呼ばれた美貌の女性マルグレット。
高級娼婦である彼女が、青年アルマンに出会って初めて知った真実の愛。
様々な障壁を乗り越えながらもひたむきに純愛を貫こうとするマルグレットの姿は、「愛とは何か」「道徳とは何か」「社会的身分とは何か」といった普遍的な問題を時を超えて私たちに問いかけます。

椿姫は多くの芸術家をも魅了し、特に画家の創作意欲を掻き立てる題材として、これまでミュシャやローランサンらがマルグレットを描いてきました。
その中から本日は、イカールが挿絵を手がけた椿姫の挿画本をご紹介いたします。

本書は、イカールが手がけた25枚の挿絵銅版画が収録され、1938年に200部限定で出版されました。
アレクサンドル・デュマ・フィスが綴る傑作の恋愛小説に、イカールが描く高潔さと情熱を讃えた薄幸のマルグレットの姿が調和した本作は文字だけの書籍や単独の絵画作品とは違った魅力があります。
イカールのオリジナル版画は通常大きめの作品が多いのですが、本作は全て縦19cm×横14cmと小ぶりなサイズが特徴。
可愛らしい大きさでお部屋に掛けやすいと大変人気がございます。
高級感のある大理石調の額に入れると、よりシックに仕上がりますよ。

「椿」の花言葉。それは「控えめな優しさと誇り」だそうです。
まるで、アルマンを愛するが故に身を引いた気高き一輪の花、マルグレットの生き方のようですよね!

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(R・K)