10月「バルテュス&ヴァロットン版画展」及び「アンティーク絵本展」が始まりました②


こんにちは。
ブログをお読みいただきありがとうございます。
昨日は当店のご近所にユニクロがオープンしました。
ますます吉祥寺の街が華やかになりそうです。

さて、前回のブログでは、今月の併催企画展のうち「バルテュス&ヴァロットン版画展」をご紹介しましたね。
今回は「アンティーク絵本展」のご紹介です。

今月は、イギリスを代表する絵本画家ケイト・グリーナウェイや妖精画家シシリー・メアリー・バーカーの初版本を始め、ウォルター・クレインによる挿絵絵本、バーン=ジョーンズとウィリアム・モリスの共作による『チョーサー著作集』、ファッション雑誌『ガゼット・デュ・ボン・トン』などなど、思わずため息が出るような美しい挿絵絵本を集めました。

上の写真は全体を写したので、近くのショットでもう一枚(↓)
約100年前のものが多いので表紙などはやや傷んでいますが、閉じられていた中ページは当時の美しさのまま、時が止まったかのように残っているものが多いです。

 

美しいアンティークの絵本ですが、手元に持っていてもなかなか毎日は開けないもの。
でも、せっかく買ったのに時々見る以外は棚の中で眠ってしまうのも、もったいないですよね。

そんな方にはアンティーク絵本の額装をオススメ。
お気に入りのページを素敵な額に入れればちょっとしたインテリアや贈り物にもなりますよ。

 


さて、今回も出品作の一部をご紹介いたします。


エドワード・バーン=ジョーンズ 『チョーサー著作集』(1958年復刻版)

ラファエル前派を代表する画家の一人バーン=ジョーンズと、モダンデザインの父とも称されるウィリアム・モリス。
19世紀末イギリスに生き、生涯の友であった彼らは産業資本主義の発展で書物や生活品が安価に大量生産される現実に危機を感じていました。
モリスは、中世の手仕事や職人のクラフトマンシップの精神に回帰し、芸術と生活を統一させることを夢見て「アーツ・アンド・クラフト運動」を提唱します。
また、この精神に根ざした「理想の書物」(中世の彩色写本などを意識したのでしょう)の出版を友人のバーン=ジョーンズと共に計画。
14世紀のイギリス詩人チョーサーの著作集を題材に、バーン=ジョーンズが87点の挿絵を、自身は周りの装飾や活字をデザインしました。

世界で最も華麗な書物、とも呼ばれる本書は余白の比率にも徹底的にこだわった緻密さが魅力。
1896年の初版は現在、そのほとんどが美術館や大学機関により収蔵されています。
当店が所蔵するのは、1958年に復刻された著作集。
「アーツ・アンド・クラフト運動」の精神に基づくモリスとバーン=ジョーンズが追求した美へのこだわりを忠実に再現した傑作です。


ウォルター・クレイン (左)『花の宴』(1889年初版)(右)『パンパイプ』(1883年初版)

”絵本の父”と称されるウォルター・クレインは、ラファエル前派の強い影響を受けた作風で童話やおとぎ話など主に子ども向けの絵本を制作。
「アーツ・アンド・クラフト運動」にも参加したクレインは、バーン=ジョーンズ&モリスの『チョーサー著作集』にも引けを取らない緻密な装飾芸術を残しています。
左の『花の宴』では花の妖精たちが美を謳う華やかな様子が描かれ、全40ページに渡る本文から本全体の装丁までクレインがリトグラフにより制作。
右の『パンパイプ』は、イギリスに古くから伝わる楽譜付き民謡40曲が収録されており、クレインによる装丁が本の美しさを一層引き立てています。
ウォルター・クレインについてもっと知りたい方はこちら

時を重ねた絵本や装飾芸術の数々を一堂にご覧いただけるアンティーク絵本展。
今月末までの展示をお見逃しなく!
また、気になる作品などございましたらお気軽にお問い合わせくださいませ。
皆様のお越しを心よりお待ちしております。

(R・K)