10月「バルテュス&ヴァロットン版画展」及び「アンティーク絵本展」が始まりました①


お待たせいたしました。
10月の企画展「バルテュス&ヴァロットン版画展」及び「アンティーク絵本展」が開催いたしました。

バルテュスは、今年展覧会でご覧になった方も多いかと思います。
あのピカソをして「20世紀最後の巨匠」と言わしめ、少女をモティーフとする代表作やどこか神秘的な謎めいた作品を多く残しました。
今回は、バルテュスが弱冠13歳で出版した『MITSOU』、『嵐が丘』、『視覚と触覚』、そして『6点の素描集』の各挿画本をご紹介しております。

ヴァロットンも今年、大規模な回顧展がパリやアムステルダムを経て日本で開催された話題の画家。
彼の描写する風変わりでどこか冷ややかな作風、鋭い観察眼に満ちた社会風刺的な作品は、観る者の心に強い印象を残します。
その中でもヴァロットンの才能と独創性が発揮されたのが「版画」。
黒と白の強いコントラストや斬新な構図によるグラフィカルな作品が特徴で、日本の浮世絵からも大きな影響を受けたんだとか。
「黒い染みが生む悲痛な激しさ」
友人にこう評されたほど、意味ありげな黒色の効果を是非実際にご覧になってみてください。

また、今回は他の芸術家が制作した「挿画本」に収録された作品も出品しております。
一部ですが、簡単にご紹介しましょう。
 

マン・レイ
『大人のアルファベット』
(1970年 限定150部)

写真家としても有名なマン・レイのポートフォリオ集。
マン・レイ自身による序文付でモノクロリトグラフを37点収録。
上は A:ancre[錨]

ホックニー
『6つのグリム童話』
(1970年 限定115部)

グリム童話から6話を選び、その挿絵としてホックニーが制作した39点の銅版画を収録。
上は「湖(めっけ鳥)」

 

オーブリー・ビアズリー
(上)『サロメ』(1912年)
(下)『丘の麓で』(1904年)

19世紀の世紀末芸術を代表するイギリスの画家ビアズリーの代表作。
ビアズリーによる挿絵版画を『サロメ』では16点、『丘の麓』では13点収録。

ルイ・イカール
「階段を上がるマルグリット(椿姫)」
(1938年 限定200部)

1848年にアレキサンドル・デュマが書いた長編小説に、
イカールのオリジナルエッチング25点を収録して出版。
後に戯曲化され、今でも人気の高い演目の一つ。

 

マリー・ローランサン
「椿姫・10」
(1937年 限定1500部)

原作は、左のイカール作品と同じ『椿姫』。
当時50代半ばであったローランサンが、この本の為に挿絵12点を制作。

 

竹久夢二
『セノオ楽譜』
(大正15年 部数不明)

西洋音楽の普及に尽力した妹尾幸陽が創刊した楽譜本『セノオ楽譜』。
12年に渡り出版されたこの楽譜本で、夢二は280枚もの表紙を手がけました。
上はブラームスの作曲した「サフォー頌歌」

高価な挿画本の数々。向かって左はヴァロットンの『罪と罰』、その下に少し見えるのがゴーギャンの『ノアノア』。中央はバルテュスの『MITSOU』。右に並んでいるのが上からマリー・ローランサン『椿姫』、バルテュス『嵐が丘』(1989年版)、マン・レイ『大人のアルファベット』、ホックニー『6つのグリム童話』、そしてバルテュス『嵐が丘』(1993年版)

 

さて、今月の企画展。
同時開催のアンティーク絵本展の詳細は次回ご紹介いたしますね。
今回は出品数も通常より多く、よりたくさんの貴重な作品が一度にご覧いただけるスペシャルな内容になっております!
ご質問などございましたらお気軽にお電話(0422-27-1915 営業時間11:00-19:00)またはこちらよりお問い合わせください。

(R・K)