シシリー・メアリー・バーカー『花の妖精』のご紹介

2019年12月3日

こんにちは。
ブログをお読みいただきありがとうございます。

ゴールデンウィークも終わり、徐々に日差しが強くなってきましたね。
心地よい天候に恵まれて、ここ数日は吉祥寺も多くの人で溢れかえっています。
本日ご紹介する作品は、そんな気持ちのいい陽気に誘われて、季節の草花を見にふらっとお出かけしたくなるような可愛らしい作品。

『FLOWER FAIRIES』シリーズより
左から「ローズヒップの妖精」、「どんぐりの妖精」、「にわとこの妖精」
出版年:1926年(いずれも『FLOWER FAIRIES AUTUMN』より)
技法:コロタイプ

これらの妖精を描いた作者の名前はシシリー・メアリー・バーカー(1895-1973)。
1970年代、森永のハイクラウンというチョコレートにおまけで入っていた妖精のカードを覚えている方も多いのではないでしょうか。

シシリーは、生涯にわたり草花の妖精画を描いたイギリスの絵本画家。
幼少時から体が弱く、学校へは通わず家庭内教育を受けて育ちました。
読書と絵にとりわけ関心があった彼女は屋内で絵を描くことに没頭し、庭先の草花を注意深く観察しスケッチをしました。
そうして独特の世界観で彼女が創造したのが、花びらのスカートや木の実の帽子を身にまとった愛らしい妖精たち。

シシリー・メアリー・バーカー

父親を早くに亡くしたシシリーは、姉ドロシーと共に一家を支えるため自らの作品を出版社に売り生計を補いました。
努力の甲斐があり約5年の歳月をかけ処女作『FLOWERS FAIRIES OF THE SPRING(春の花の妖精)』が出版。
1923年、シシリー28歳の時でした。

シシリーの描く『FLOWER FAIRIES』シリーズは、草花の綿密な描写と子どもの純真で無垢な様子が、生き生きと伝わる愛らしさでたちまち人気を博します。
それぞれの挿絵には、妖精たちが歌うように語る草花の短い詩が添えられ、その台詞も妖精たちの心情や性格が表現されているようで一つ一つ個性的。

例えば「黒いブリオニアの妖精」にはこんな詩が。

Bright and wild and beautiful  秋のお祭りに向けて、明るく野性的で

  For the Autumn festival,  美しい実をつけるブリオニア

I will hang from tree to tree  私はブリオニアの花輪やつるの中で

  Wreaths and roses of Bryony  木から木へとぶら下がり大忙し

To the glory and the praise  栄光と賛美に満ちた

  Of the sweet September days.  甘美な9月の日々に向けて

 

その後、季節の草花の妖精シリーズや様々な詩画集を精力的に出版しましたが、1948年に『FLOWER FAIRIES OF THE WAYSIDE(道ばたの花の妖精)』を出版した6年後、一家を支え続けた姉ドロシーが死去。
それを機にシシリーは創作から距離を置くようになり、以降、新しい本を出版することはありませんでした。
しかし、彼女が亡くなって40年以上を経た今も彼女の生み出した妖精たちは世界中から愛され続けています。

 

当店では、シシリー・メアリー・バーカーが出版した初版本を数多くお取り扱い。
気に入った妖精の挿絵を額装でき、お部屋のインテリアとして非常に人気が高い作品です。

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(R・K)