マッピン&ウェッブ社製「コーヒー・ティーサーバーセット」のご紹介

こんにちは。
ブログをお読みいただきありがとうございます。

本日はゴールデンウィーク初日。お天気もよく、爽やかな風も吹いて初夏を感じる日でしたね。

今回は、イギリスにおける銀製品の名門マッピン&ウェッブ社によるコーヒー・ティーサーバーセットをご紹介いたします。

制作国:イギリス
制作年:1960-90年代
素材:シルバープレート
サイズ:コーヒーポット高さ19.2cm

マッピン&ウェッブの始まりは18世紀。
当時18歳のジョナサン・マッピンがイギリス中部の都市シェフィールドに、小さなカトラリー工房を開いた1775年まで遡ります。
その頃、産業革命以降シェフィールドは工業の中心として繁栄していました。

それから数十年後。
19世紀半ばになり彼の4人の曾孫達が事業拡大に乗り出し、ロンドンに最初の路面店をオープンするも、その後兄弟は別々の道を進むことになります・・・

しかし、兄弟の中で一番若いジョン・ニュートン・マッピンが義理兄弟のジョージ・ウェッブに誘われ、それまでのマッピン社の事業内容を引き継ぎ彼と新しく始めたのがマッピン&ウェッブ社。
1862年のことでした。

それから徐々に知られる存在になっていったマッピン&ウェッブ。
1897年にはイギリス王室御用達であることを証明するロイヤルワラントという名誉ある称号を授けられます。
銀製品ブランドへの授与はこの時が初めてだったそうですよ。

エリック・クレメンツ

長い歴史の中で様々な銀製品を世に送り出してきたマッピン&ウェッブ。
今回ご紹介するセットは、デザイナーのエリック・クレメンツが1961年に考案し、高い人気を博したコレクション。
通称「クレメンツ・パターン」。
彼が、奨学金を得て旅したスカンジナビア半島で出会った実用的なデザインにインスピレーションを得て誕生しました。

シンプルで機能的。
すっきりとした美しさと丸みを帯びたボディラインのバランスが絶妙で、モダンなインテリアやカトラリー製品ともよく合う秀逸なデザインですよね。

ところで、「銀製品」といえば格調高いのはやはりイギリス。
それは、銀の配合量の基準をクリアした製品だけに付される特別な刻印のため。
ホールマークと呼ばれる刻印により、銀製品の品質と信頼性が守られ続けているのです。

このイギリス銀製品の刻印制度は16世紀より続く伝統ある習慣で、イギリスほど厳しく統一され、世界的に認識された刻印制度は他にありません。

一般に純銀(スターリング・シルバー)と呼ばれるものは銀の含有率が92.5%以上のもの。
銀100%では銀が軟らかすぎて傷つきやすく、加工ができません。
そこで、銅やアルミニウム等の金属を足して製品強度を上げているのです。

この銀含有率92.5%以上の最高級品位の純銀製品に与えられるのが5種類の刻印。
(年代によって異なる場合あり)
a. メーカーズマーク(職人や工房の名前)
b. アセイマーク(鑑定オフィス)
c. デートレター(製品が鑑定を受けた年代)
d. スタンダードマーク(純銀製品であることを保証)
e. デューティーマーク(銀製品に税金がかけられた1784-1890年の間のみ。その時の君主の横顔が刻印)

つまり、このホールマークの場合、
「HW&Co(Henry Wilkinson&Co)社が1872年ヴィクトリア女王時代に生産し、シェフィールドの鑑定オフィスが鑑定した純銀製品」ということが分かります。

国や年代によっても様々な意匠があり個性豊かな銀製品。
当店では、イギリスの純銀製カトラリーをはじめ、フランスやドイツの銀製品も扱っております。

ご質問などございましたらお気軽にお問い合わせください。
また、他銀製品はこちらでもご紹介!

<取扱銀製品の一部>

WMF「ティーサーバーセット」 ドイツ 1900-35年頃制作
「シルバー・シャンパン ゴブレット」 インド/イギリス 1940-60年頃制作
「シルバー・ワイン ゴブレット」 イギリス 1800年代後期制作


(R・K)