オールドノリタケ「アール・デコ パウダーボックス」「アール・デコ キャンディボックス」のご紹介

こんにちは。
ブログをお読みいただきありがとうございます。

いよいよ春の到来か!と思って薄着で出かけると意外と肌寒かったり、気まぐれな気候の変化が続きますね。
皆様も十分にお気をつけくださいませ。

オールドノリタケ「アール・デコ パウダーボックス」
技法:磁器・手彩色
高さ:13.8cm
底部に商標(マルキ・ブルー)

さて、今回ご紹介するのはオールドノリタケのポップでモダンな作品。
「オールドノリタケ」といえば、日本を代表する陶磁器窯の一つですが、その創業のルーツが福沢諭吉に関係していることを皆様ご存知ですか?

明治維新後の日本。
西洋文明を取り入れようと欧米から多くの事物が輸入され、日本のお金がどんどん海外へ流出していく事態を憂いたある日本人がいました。

男の名は森村市左衛門。
彼は、自らの師であった福沢諭吉から得た助言である、
「国外へ流出した金を取り戻すには日本製品を輸出して外資を獲得する意外にない」の元、
弟と小さな貿易商社「モリムラ・ブラザーズ」を創業。
ニューヨークに弟を派遣し、日本から送る陶磁器や漆器、屏風などの伝統的な産物を現地で販売する事業を始めました。

ニューヨークのモリムラ・ブラザーズ

当時、ヨーロッパにおけるジャポニスムブームの影響もあって日本への関心は非常に高く、事業は軌道に乗り出しました。
そのうちに、日本の国力を高めたいという森村の創業時の思いに共感した同志が集まり事業は拡大。
アメリカで人気の高い洋食器を自分たちで製造販売するという案を思いつきます。

しかし、純白な白生地の生産は至難の業。
10年の歳月を費やし、苦心の末に白生地の製造に成功しました。
この時社名を「日本陶器合名会社」に変更。
以降、現在でも本社のある愛知県の則武という地名にちなみ陶磁器ブランドを「ノリタケ」と名付け、瞬く間に人気を博しました。
一般に、第二次世界大戦前に製造された製品が今日「オールドノリタケ」と呼ばれているものです。

オールドノリタケ「アール・デコ キャンディボックス」
制作年:1921-41年頃
技法:磁器・手彩色
高さ:15cm
底部に商標(M-JAPAN・グリーン)

今回ご紹介する作品は、それまでの曲線や装飾性の高いアール・ヌーヴォーに代わり、1920年代に出現した美術傾向「アール・デコ」様式の愛らしい入れもの。

では、そもそもこの美術様式「アール・デコ」はどのようにして生まれたのでしょうか。

1920年代当時、欧米列強に飛躍的に進んでいた工業化や近代化。
そしてそれによって訪れた大量生産や消費文明の波。
アール・デコ様式はそうしたモダンな都市生活を背景に追求された合理的な機能美です。
直線的なシルエットやシンプルで幾何学的な構成が特徴です。

また、女性の社会進出が進んだこの時代。
ファッションの分野でも劇的な変化が見られます。
コルセットでウエストをきつく締めた丈の長い伝統的なドレススタイルから、髪はショートカット、膝丈のスカートやシルエットの緩いケープなど小粋で活動的なモダンガールが流行。
ファッションデザイナーのココ・シャネルも登場しました。

オールドノリタケは、そうした時代の風潮やニーズを敏感に読み、アール・デココレクションを生産。
ファンシーでポップ、そして現代でも通じるモダンさを兼ね備えたレトロシックなアイテムで、今なお人気の高いコレクションです。
また、トレンドを反映している影響か、アール・デコが席巻した1920年初頭からの約20年のみの生産という稀少性も魅力の一つ。

現在店内にはパウダーボックスとキャンディボックスの他に、オールドノリタケの手がけるアール・デコナプキンリング もご用意しております。
現代のインテリアとも調和しやすいお洒落でポップなアンティークはいかがですか?

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(R・K)