アトリエ・ブランカ軽井沢、好評開廊中!


こんにちは。
ブログをお読みいただきありがとうございます。

先月末より今季の営業を再開したアトリエ・ブランカ軽井沢
日本列島の多くの地域で好天に恵まれたゴールデンウィークには、お馴染みのお客様から初めてご来店のお客様まで本当にたくさんの皆様にお越しいただき大変にぎわいました。
改めて、お立ち寄りくださった全ての方々に心より御礼申し上げます。

また、軽井沢店では情報発信の手段として新たにTwitterをスタート。
店内の作品紹介から軽井沢の耳寄り情報まで”旬”な軽井沢をお届けいたします。
是非、@atelier_blancaをフォローください。


先日のTwitterでは、店の軒下に巣を作ろうとしていたのか、愛らしいツバメが店内に舞い込む嬉しいハプニングもご紹介。

昔からツバメが家に巣を作ると縁起がいいと言われています。
迷い込んだツバメはすぐに逃がしてやり自然に帰りましたが、どうやら幸運のシンボルのこのツバメちゃん。
店内の作品の一部に姿を変えてしまったようです。

エミール・ガレ「ツバメと湖水風景文ランプ」
制作年: 1900年頃
サイズ: H55.6×D24.1cm
技 法: 被せガラス、酸化腐蝕彫り
本体側部に陰刻サイン、シェード側部に陽刻サイン


そんなエピソードが隠れているような、どこか幸せな気分にさせてくれる本作。
大きく羽を広げ、悠々と空を舞う3羽のツバメが描かれています。
ほんのりと金色から薄緑へと変化する絶妙な諧調は、生い茂る林野に訪れる夕暮れという一日の締めくくり。
日が沈む黄昏時に空に反射した美しい自然の色でしょうか。
木々のざわめきの間に浮かび上がる静かな湖面。
細かい部分まで精巧に表現されたランプのベース部分とは対照的に、広大な空に飛ぶツバメを描いたシンプルなシェード。
その秀逸な空間づかいに目を見張るともに、どこか人生の機微をも感じさせる一点です。

作者は、19世紀末に花開いた装飾様式アール・ヌーヴォーの巨匠エミール・ガレ。
1846年、フランスロレーヌ地方(フランス北東部)のナンシーで生まれたガレは、幼い頃から自然をこよなく愛し、草花をスケッチして育ちました。
祖父は有名な博物学者であったというからその才能は遺伝的なものもあったのでしょう。

その後、ドイツへの留学を終えたガレは、ガラス器の卸売業者であった父親の事業を引き継ぐ形でガラス工芸家としてのキャリアをスタートします。

しかし、転機が訪れたのは、ガレが作品を出品した1878年のパリ万国博覧会。
彼が創造した得も言われぬ美しいガラス工芸品は多くの人々の心を捉え、ガレの才能と努力により、それまで身近な工芸であったガラス製品は、高尚な芸術の域にまで推し進められたのです。

ガレ芸術に特徴的な技法が、本作でも見られる<被せガラス>と<酸化腐蝕彫り>。
<被せガラス>とは、ある色ガラスの上に別の色ガラスを重ねること。
ガラスが溶解しているうちに行うこの作業は、徐冷時の破損を防ぐために、重なり合う色層の膨張係数を合わせねばならないため、高度な技術を要します。
また、<酸化腐蝕彫り>は、模様を残す部分をワックスでマスキングし、酸化液に浸けこみ腐蝕させて彫り込む技法のこと。
これらの複雑な工程により、前述した幻想的な表現が生み出されたのですね。

ガレ「蝶と湖水風景文ランプ」 ドーム「冬景色文ランプ」
シュナイダー「テーブルランプ」 作者不詳「女性文テーブルランプ」 ドゥゲ「アール・デコ花文テーブルランプ」

軽井沢店では現在、ガレやドームら一流ガラス工芸家たちが手がけた美術館級の名品から、インテリアとしても飾りやすいお値打ちなミューラー、シュナイダー他作家の作品まで、美しい輝きと灯りのアンティークテーブルランプを数々ご用意しております。

今年、幸運のツバメが運んできた物語のように、皆様が吉兆を感じる素敵な作品との出会いがアトリエ・ブランカ軽井沢で生まれますように。

(R・K)