【10月企画展】吉祥寺「ローランサン展」、軽井沢「フランス絵画・工芸 黄金の100年展」開催中!

お待たせいたしました。
ギャルリー・アルマナック吉祥寺およびアトリエ・ブランカ軽井沢では、今月の新しい企画展が先週よりスタート。
涼やかな風が頬をなでるこの季節、芸術の秋にふさわしい趣きある展示をご覧に是非いらしてください。

ギャルリー・アルマナック吉祥寺企画展「マリー・ローランサン版画展」

 
ギャルリー・アルマナック吉祥寺では約2年ぶりにマリー・ローランサンを特集しております。
そこに存在していることがまるで幻のような、息を吹きかければすっと消えてしまいそうな淡い色遣いが印象深い彼女の作品たち。

お針子の母の持ち物であった扇やレース、真珠などを眺めながら、夢見がちに少女時代を過ごしていたという女の子が、20世紀の芸術界に旋風を巻き起こすことを一体誰が予想できたことでしょう。

親しい友人の一人であったピカソがいち早く才能を認めて作品を購入し、また服飾デザイナーのココ・シャネルや化粧品ブランド創業者のヘレナ・ルビンシュタインら、当時社会を牽引した女性たちがこぞって肖像画を依頼したローランサン。
彼女の作品は唯一無二の存在感で、現代も私たちをときめかせ続けています。

出品作品の一部をご紹介しましょう。

ローランサン「歌」

3人の清らかな乙女を描いた本作の題名は「歌」。
彼女たちが奏でるのはバラ色に満ちた歓喜のメロディーか、それとも愁いのエレジーでしょうか。
その答えをはぐらかし観る者に委ねるような、瞳孔のない真っ黒な瞳が作品に独特の抒情性と神秘的雰囲気を与えているようです。
1945年制作 リトグラフ Ed.58/150 直筆サイン入り 

ローランサン「アリスの眠り」 ローランサン「もっと大きい人はみんな・・・」

こちらは、児童文学の世界的名作「不思議の国のアリス」にローランサンが6点の挿絵を描いて出版された愛らしい挿画本。
出版時期(1930年)に流行していたアール・デコも踏襲しているのでしょうか。
直線的なラインが印象的な格子柄のスカートを翻す新しいアリス像が斬新で、空想的なローランサンの世界と見事に調和した作品です。
作品詳細はこちら

本展ではこの他、直筆サイン入りオリジナル版画作品を多数含めた、約40点をご覧いただけます。
柔らかで儚くも、鋭い個性で心に染み入る不思議な世界観が、私たちを争いや汚れのない永遠の夢物語へといざなってくれるようです。

ギャルリー・アルマナック吉祥寺 店舗詳細


アトリエ・ブランカ軽井沢企画展「フランス絵画・工芸 黄金の100年展」

今月のアトリエ・ブランカ軽井沢では「フランス絵画・工芸 黄金の100年展」と題し、1850年代から1950年代というおよそ1世紀の期間に誕生した作品を一堂に展示。

この時代、普仏戦争やパリ・コミューン、世界大戦の勃発など政治的動乱が続いた反面、万国博覧会の成功や近代産業の発達といった明るい話題ももたらされました。

芸術界においては、バルビゾン派や印象派、象徴主義、フォーヴィスム、キュビスムなど史上最も多くの芸術様式が次から次へと登場した時代。
それは、こうした光と影に満ちたドラマティックな出来事に感化されながら、芸術家たちが自らのアイデンティティーを必死に求めて”生”に奔走した証拠でもあるのです。


ディアズ・ド・ラ・ペーニャ「ヴィーナスとキューピッド」

森の木陰で興じるキューピッドを優しく抱きかかえるヴィーナス。
美しい神話的世界を描いた本作は、バルビゾン派の七星として知られる巨匠、ディアズ・ド・ラ・ペーニャによる愛らしい油彩作品。
手鏡を片手にこれから恋人と会うための身繕いでも始めたところでしょうか。
キューピッドはお化粧の指南役でもしているのかもしれません。 


ガレ「花文オードブル皿」 ジッツェンドルフ「マントルクロック」 ラリック「天吊灯」

本展では、絵画とあわせこの時代に制作された工芸品も多数出品中。
19世紀末に花開いたアール・ヌーヴォー芸術を代表するガレの稀少な陶磁器作品(左)から、
高貴な香り漂う精巧な絵付けと装飾の美しいマントルクロック(中)、
アール・デコ様式を確立した巨匠、ルネ・ラリックの最新入荷作品(右)をはじめ、
ブロンズ彫刻やシルバー製品などにいたるまで、黄金の100年のエッセンスを凝縮。


 

デュフィ「ル・アーブルの水の祭り」
シャガール「カルメン」

爽やかな筆致と明るい色遣いで人気のデュフィによるオリジナル版画(左)。
広い空とノルマンディー地方独特の深い青の海、さざめく波に太陽の光が反射し、お祭りの熱気を盛り上げているようです。

対照的に、まばゆいばかりの深い赤が印象的な右側の作品は、1966年、ニューヨークのメトロポリタン・オペラ劇場の完成を記念し、内部の壁画を手がけたシャガールが制作した劇場告知のリトグラフポスター。

両者とも一つの芸術様式にくくられることのない特異な画家ですが、自由な表現を謳歌した20世紀芸術ならではの作品を数多く残しました。


この他、芸術家が100年にわたり紡ぎ上げたダイナミズムを感じる作品を多数出品。
輝かしき芸術の競演、アトリエ・ブランカ軽井沢がお届けする美の祭典をどうぞお見逃しなく。
(軽井沢店で同時開催の「秋の収穫と祝祭特集」も是非ご覧くださいませ。)

両展とも会期は10/31(月)まで。
多くの皆様のお越しを心よりお待ちしております。

ギャルリー・アルマナック吉祥寺 店舗詳細
アトリエ・ブランカ軽井沢 店舗詳細

(R・K)