映画「FOUJITAーフジター」とモンパルナスのキキ


こんにちは。
ブログをお読みいただきありがとうございます。

待望の映画「FOUJITA」がいよいよ先週末より公開されました。
早速先週のミニシアターランキングでは1位を獲得したそうで、その注目度の高さが伺えますね。
特に、日夜華やかな宴が繰り広げられたいわゆる<狂乱の時代>を描写した1920年代のパリを映したシーンは圧巻。

スクリーン全体が芸術と呼ぶにふさわしく、そのお手伝いを少しでもさせていただけたことに深く感謝です。
当店の天吊灯は映画中盤のこちらの場面に出演しております。


映画についての論評は色々な方がなさっているので、こちらのブログでは劇中にも登場したモンパルナスの女帝キキについてご紹介しましょう。

キキの本名はアリス・プラン(Alice Prin 1901-1953)。
モンパルナスのキャバレーで歌う歌手であり、芸術家のモデル・愛人、また彼女自身画家としての才能もあり個展も行なったほど。
豊満で官能的な肉体と個性的な美貌で1920年代、多くの芸術家の創作のインスピレーションとなった伝説的な存在でした。

劇中のアリス・プラン 実際のアリス・プラン
マン・レイ「アングルのヴァイオリン」

モンパルナスのキキあるいはアリス・プランの名は聞き覚えがない方でもこの美しい後ろ姿に見覚えのある方は多いのではないでしょうか。

著名な写真家マン・レイが撮影した「アングルのヴァイオリン」です。
アカデミズム絵画の巨匠であるアングルにオマージュを捧げた作品ですがこの写真のモデルこそ当時マン・レイの愛人であったキキでした。

ちなみに、下の5点はキキをモデルに当時の芸術家が残した作品たち。
同一人物をモデルにしてもこれだけの表現の違いがあるとは驚きですね。
キスリングやドンゲンは劇中にも登場しましたね。
主人公ではない周囲の登場人物の関係性に着目すると、もっともっと奥深く味わえること間違いなしの映画です。

<同年代の芸術家たちによって描かれたキキ>

Gwozdecki作 キスリング作 藤田嗣治作 ヴァン・ドンゲン作 マン・レイ作

(R・K)