女性写真家サラ・ムーンの世界


こんにちは。
ブログをお読みいただきありがとうございます。

先日、サラ・ムーン(Sarah Moon)という名の女性写真家を知る機会がありました。
彼女はファッション・モデルからフォトグラファーに転向後、その独特の感性を活かし、1960年代から「VOGUE」や「Harper’s Bazzar」などモード誌を中心に活躍した写真家です。
彼女の創り上げる世界観は何とも幻想的。
まるで、そこに映されていない前後の物語を私達に想起させるような、美しい余韻が残るのです。
宇宙的な響きを持つそのミステリアスな名前も素敵ですよね。

印象派や象徴主義、唯美主義などからも影響を受けているという彼女にとって
創作のキーワードは、①メランコリーな女性と ②その姿態を美しく浮かび上がらせる光線。
『ニューヨーク・タイムズ紙』は1983年の記事において、
「サラ・ムーンの世界の女性たちはうっとりするほど美しく若く、まるで非の打ちどころがない完璧さを持ちながらも、彼女たちは不幸だ」と評しました。
愁いを帯び、どこか孤独で愛に飢えたような悲壮感がありながら、それでも心にずっと留めていたくなるような色気を持ち合わせ彼女たち。
それはバルテュスや竹久夢二、ローランサンが描く少女や女性たちにもどこか重なります。

また、光について、サラ・ムーンはとあるインタビューで
「光はイメージの言葉そのものだからそれが主役。光は驚きであり、失望であり、物を昇華させるかと思えば形を歪めてしまう。」
と答えています。
光線と被写体の交錯する一瞬の表情を捉えた彼女の作品は、永遠ではない美が消えてゆく儚い瞬間のようでもあります。


サラ・ムーン本人は、無造作な髪の毛にメンズライクなアウトフィットが定番。
そして、何気なくはめた数本の指輪に片時も離さない煙草。
無骨なようでありながら、そこに漂うのは絶対的なエレガンス。
パリ・シックを体現したようなまさにパリジェンヌらしい女性です。

本日は、時を忘れて眺めていたくなるような陶酔感に浸れる
サラ・ムーンの夢幻の世界をご紹介しました。

(R・K)

芸術の話

Posted by blanca