ドゥゲ「アール・デコ バラ文テーブルランプ」のご紹介

こんにちは。
ブログをお読みいただきありがとうございます。

とうとう、9月も最終日となりました。
当店のポスター展は本日までの開催。
明日の定休日を挟んで、10月からはまたがらっと雰囲気が変わる予定です。

さて、本日は久しぶりの商品紹介!
今回はアール・デコのシンプルなシルエットに、さりげなく浮かび上がるバラ模様が美しいドゥゲのガラスランプです。

制作年:1920-30年頃
制作技法:フロスト

ガラスランプというと、ガレやドームにミューラー、シュナイダー辺りが有名ではありますが、1920-30年代に話題になった「ドゥゲ(Degué)」というガラスブランドがありました。

創始者の名はDavid Guéron。
スペインとユダヤの血を引く両親の元トルコに生まれたこと、そしてフランス軍の外人部隊に加入していたこと以外は、その経歴やガラス工芸の世界に足を踏み入れるきっかけなどが詳しく分かっていない謎に包まれた人物です。

1925年。
アール・ヌーヴォーに代わる芸術様式が、パリで開かれたある万国博覧会で誕生しました。
その博覧会の正式名称は「現代産業装飾芸術国際博覧会」。通称、アール・デコ博です。
19世紀末に一世を風靡した、豪華で装飾的なアール・ヌーヴォーもこの頃になるとすでに衰退。

1920年代は自動車や飛行機などが登場し、人々は機械文明を謳歌する近代都市生活の真っただ中。
そうした中で行われた博覧会で求められたのは機能的でシンプルな、毎日の生活に直結するようなデザインの芸術「アール・デコ」だったのです。

David Guéronはこの流れに乗って、パリの北東コンピエーニェでテーブルウェアなどを中心としたガラス製品の生産を開始。
1926年、拠点を写したパリの新しい工場”Verrie d’Art Degué”での生産に取りかかり、花瓶やランプ、ランプシェード、シャンデリアなどを主として一定の成功を収めました。

Degué製品はアメリカ人やフランス人に特に好まれ、1920年代を代表するガラスブランドの一つへと大成長を遂げましたが、他ガラスブランドとのトラブルや世界恐慌などにより徐々に力を失い、1939年に操業を停止。

しかし、その短い活動期間の中でDeguéは色ガラスとともに、本作品で用いられているサンドブラスト技法でも評価を獲得しました。
サンドブラストとは、ガラスの表面に砂(サンド)などの研磨材を吹き付け(ブラスト)、不透明の擦りガラス(フロストガラス)に加工する技法。
この技法を施すことにより単色のガラスに立体感や動きのある装飾が生まれるのです。

本作のガラスランプには、美しいフロストガラスに幾何学的なバラ模様が配置され、また、柄のデザインや四角型の土台はシンプルながらこだわりとセンスが感じられます。
全体のバランスが非常に秀逸で、まさにドゥゲのアール・デコ芸術がいかんなく発揮された作品です。

当店では、他のドゥゲ作品やガレ、ドームを始めとした各種ガラス工芸品もご用意しております。
ご興味のある方はこちらをご覧くださいませ。

(R・K)