サン・ルイ「クリスタルワイングラス」のご紹介


こんにちは。
ブログをお読みいただきありがとうございます。

そろそろ秋も終わり、本格的に冬がやってきたように感じる今日この頃。
体調の変化には皆様十分お気を付けくださいませ。
さて本日はこれからやってくるクリスマスシーズンやご家族の集まる年末年始のイベントにぴったりの商品をご紹介しましょう。

日本でもあまねく知られているクリスタルガラスのブランド、バカラは通称「クリスタルの王者」と呼ばれています。
それに対し、「クリスタルの女神」という神々しい異名を持ち、400年以上の長きに渡り続くガラス工房があります。
フランス・ロレーヌ地方発祥の「サン・ルイ王立クリスタル工房」。

日本での知名度はバカラに劣りますが、その歴史はバカラより古く1586年まで遡ります。
ところでこの時代、ヨーロッパではどんなことが起こっていたでしょうか?


フランスを含め、当時のヨーロッパは宗教戦争の真っただ中。
中世以降、聖職者の世俗化などカトリック教会の腐敗は問題になっていましたが、教皇による寄進目的の贖宥状(免罪符)の販売が横行したドイツで、ついに1517年、ルターが教皇を糾弾。
宗教改革が勃発します。

これを口火に、宗教を本来あるべき姿に戻そうとする新興のプロテスタント派とカトリック教徒の間で血生臭い宗教戦争がヨーロッパ各地に発展していきました。

フランスでも同様の宗教戦争が起こり、これを鎮圧したアンリ4世によりブルボン朝が1589年に成立。
今回ご紹介するサン・ルイが前身である小さなガラス工房を始めたのは1586年。
まさに激動の時代に生まれたガラス工房だったのです。

その後、地道な努力で成長を続けたこのガラス工房は1767年。
当時の国王ルイ15世より、聖王と呼ばれたルイ9世にちなむ「聖ルイ=Saint-Louis」の名を贈られ、以降「サン・ルイ王立ガラス工房」を名乗るようになります。
さらに1781年には、鉛を入れた透明度の高いクリスタルガラスの開発にフランスで初めて成功。事業は飛躍的に発展しました。

クリスタルガラスについては、以前(バカラ「ワイングラス:セビーヌ」)ご紹介しましたが、簡単にもう一度。
一般的にガラスは ①珪砂 ②ソーダ灰 ③石灰、の3種類の原料を融解して作られこれがソーダガラスと呼ばれるもの。

水晶(クリスタル)のように輝く透明な高品位なクリスタルガラスは、このソーダガラスの成分にさらに「鉛」を加えて形成されます。
鉛含有率30%以上のガラスが最高級のフルレッドクリスタル、24%以上がレッドクリスタル。
鉛の含有率が高ければ高いほど光の屈折率・反射率が大きく比重が重くなることで輝きや光沢が増し、指ではじくと高い澄んだ音がします。

1830年には「それぞれのワインに相応しい専用のグラスを使いましょう」という、何とも贅沢な新しいテーブルマナーを提案。
サン・ルイのグラスセットを持つということが、上流階級のステータスにまでなりました。

伝統を継承しながらも、その歴史に甘んじることなく常にその時々の現代性を追求する姿勢を忘れぬサン・ルイ。
世界で最も権威あるこのガラス工房は、伝統と革新を融合しながら今日も国家最優秀職人賞(MOF)の称号を得た職人たちによる技術と情熱とともに炉を燃やし続けているのです。


煌めくサン・ルイグラスの深い歴史とともにお食事を堪能すれば、きっと味わい深い優雅なひと時になることでしょう。
ご質問などございましたらお気軽にお問い合わせくださいませ。

(R・K)