映画「ディリリとパリの時間旅行」

こんにちは。
ブログをお読みいただきありがとうございます。

フレンチ・アート・アニメーション界の巨匠、ミッシェル・オスロ監督をご存知ですか?

「キリクと魔女」「アズールとアスマール」などの作品が世界中から高い評価を受けています。
人種や民族の問題を背景としながら、心を揺さぶる美しいアニメーション映画の数々を生み出してきました。

新作「ディリリとパリの時間旅行」”Dilili à Paris” が東京で公開中。
10~11月以降、全国各地の映画館でも上映が予定されています。
見どころが沢山ありすぎて、何からご紹介したら良いのか迷うほど。

ベル・エポックの巴里を舞台にフランスとニューカレドニアのハーフの女の子、ディリリが連続少女誘拐事件を捜査するという物語。
女性たちが大々的に社会進出を果たす前夜の時代を背景にしたスリリングな内容です。

ミュシャ「椿姫」

これだけでもかなり興味深いのですが、実在した著名人が次々と登場するたびに胸が躍ります。
マリー・キュリー、ルイ・パスツール、エドワード皇太子、ロートレック、コレット、そしてサラ・ベルナール。
作品の冒頭や途中で、サラのためにミュシャが描いた「椿姫」のポスターが広告塔に貼られているのが見えます!

ちらっと映るだけなら、さらに多数が出演。
弊社取り扱いの画家たち、ピカソ、マティス、ルノワール、モネ、モリゾ、ヴァロットン、ドガの姿もありました。

彫刻家ではブランクーシ、ロダン、カミーユ・クローデル、ブールデル。
音楽家のドビュッシー、サティ、ラヴェルや作家、建築家などなど枚挙にいとまがありません。
以前、当ブログでご紹介したイサドラ・ダンカンの姿も!

パリの風景はオスロ監督が4年に渡って撮りためた写真が使われました。
凱旋門やオペラ座など誰もが知っている名所をディリリたちが奔走します。
洗濯船やムーラン・ルージュ、アイリッシュ・アメリカン・バー(ロートレックの「ザ・チャップ・ブック」で描かれています)では重要な手掛かりを入手。
まさに世紀末のパリへの時間旅行ですが、地上だけでなく、地下や空へも連れて行ってくれます。

ロートレック「ザ・チャップ・ブック」

 


また、字幕版をご覧になられる際はディリリの話す美しい発音のフランス語にぜひ耳を傾けてください。
彼女が口にする初対面の挨拶 “Je suis heureuse de vous rencontrer(お会いできて嬉しいです)”は何度も繰り返されるのですっかり覚えてしまいますね。

ガブリエル・ヤレドの音楽はいつもどこか懐かしい調べですが、本作品のテーマソング「太陽と雨」は思わず口ずさんでしまう可愛らしさ。

音とビジュアルと物語。
そのすべてがとても魅力的なフィルムです。
皆様もぜひ良い旅を。Bon Voyage !

(K・T)