いよいよ2015/11/14公開の映画「FOUJITA」


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ブログをお読みいただきありがとうございます。

昨年の10月、当店に入った一本の電話。
「日本人画家の半生を描く映画撮影にあたり、美術協力をしてもらえないか」
ガラスランプや天吊灯など当店の商品を撮影セットに提供した映画こそ、いよいよ11月に公開を迎える「FOUJITA」です。
もちろん主人公の日本人画家とは、パリ画壇で一世を風靡した藤田嗣治のこと。

「泥の河」などで国際的評価を得る巨匠、小栗康平監督が芸術的な映像美で魅せる藤田嗣治の世界観は、きっと観る者の心を揺さぶる何かがあるのでしょう。

また、11月の全国公開に先駆け開催される映画の祭典「第28回東京国際映画祭」への出品も決定したそうで、その注目度・完成度の高さが伺えます。

藤田嗣治と言えば、眠れる裸婦や猫、少女の題材を独特の質感で描いた作品で有名ですが、その画風に辿り着くまでには長い模索と葛藤の時期がありました。

「巴里の風景」 「寝室の裸婦キキ」

実はあまり知られていませんが、藤田の初期作品の多くはやや陰気な雰囲気が支配するもの。
特に、渡仏数年後に勃発した第一次世界大戦では、多くの画家が戦火を逃れるなかで藤田はパリに残る道を選び、未来の見えない孤独と困窮を極めた生活の中で絵筆を動かし続けました。
1918年に描かれた「巴里の風景」はそうした藤田の心情が如実に現れた一作でしょう。

この翌年、戦争は終わり、藤田も謳歌した1920年代のいわゆる「狂乱のパリ」に時代が訪れるのです。
そんな華やかで狂騒的な日々の中で藤田が発表した”乳白色の肌”を持つ裸婦は熱狂的に受け入れられました。

映画「FOUJITA」では、パリの寵児になった藤田が、戦争画家を経てフランスに帰化する晩年までの波乱万丈の半生を綴ります。

また、東京国立近代美術館では現在藤田の特集展示を開催中。
何と、館が所蔵する藤田嗣治全26作品が一堂に会するまたとない機会。
予習もかねて映画公開の前に是非訪れたい企画展です。

藤田嗣治の当ギャラリー取扱作品はこちら

(R・K)