マリー・ローランサン美術館

わたしの肖像byローランサン
<わたしの肖像> 1924年 マリー・ローランサン美術館所蔵

 

こんにちは。
ブログをお読みいただきありがとうございます。

10年程前、蓼科湖のほとりにあったマリー・ローランサン美術館を訪れたことがあります。
高原の爽やかな風と緑に囲まれたミュージアムで観る、儚げな女性像の数々。
その抒情的な世界に入り込むと、どこかなつかしいような、夢の中を歩いているような気持ちになったのを覚えています。

株式会社グリーンキャブの創設者、高野将弘氏が数十年をかけて形成した油彩のコレクションを中心に、デッサンや水彩、版画、挿画本などが多数集められた、世界で唯一のローランサン専門の美術館。

Art Annual online より画像引用

2011年に惜しまれながら閉館となりましたが、昨年、紀尾井町ホテルニューオータニ内で再開館しました。
大小2つの展示室のみですが、居心地の良い空間でローランサンの作品をひとつひとつ堪能することが出来ます。

ただいま開催中の展覧会は「音楽とマリー・ローランサン」。
目当ての挿画本『椿姫』の水彩原画 全12点は想像以上に透明感に満ちていました。
マルグリットの美しさが画面いっぱいに広がり、アルマンを想うがゆえに身を引く苦悩は見られません。
ローランサンは真実の愛を知った女性の輝かしさを描くことに集中したのでしょう。

 

ローランサン自身もさまざまな愛を経験したと伝えられています。
詩人ギヨーム・アポリネールとの恋愛はあまりにも有名ですね。
アポリネールが眠るパリ北東部のペール・ラシェーズ墓地で在りし日に彼から送られた書簡を胸に抱きながら埋葬されたというローランサン。
アポリネールも最期まで彼女を想っていたと言われます。

“男性的な欠点をひとつとしてもつことなく、彼女は可能な限り数多くの女性的長所に恵まれている”
と美術評論家でもあったアポリネールが評したように、ローランサンは女性の観点ならではの作品を生み出し続けました。

音楽byローランサン
<音楽> 1944年頃 マリー・ローランサン美術館所蔵

ローランサンが描く女性たちはただ美しくそこに在るように見えますが、彼女たちと真っすぐ向き合ってみると、心の奥に秘めた何かが静かに流れてくるのを感じます。
それはきっと他ならぬローランサン自身の情熱ではないでしょうか。

“死んだ女より もっと哀れなのは 忘れられた女です”

これはローランサン自作の詩「鎮静剤」”Le Calmant” の最後の一節。
アポリネールの死を知ってしたためたとされています。
彼女自身は忘れ去られるどころか、今後ますます多くのファンを獲得していくことでしょう。
フランス本国でも、ローランサンの再評価の動きが盛んになっているそうです。

 


今月のギャルリー・アルマナック吉祥寺店は約2年ぶりにマリー・ローランサンを特集展示。
『椿姫』や『園遊会』を筆頭とした挿画の額装品から、直筆サイン入りのオリジナル版画も多数取り揃えました。
ローランサンのミューズたちの神秘的な微笑みに魅せられてみませんか?
皆様のお越しを心よりお待ちしております。

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(K・T)