【吉祥寺店】ルイ・イカール展 [常設展示] 藤田 嗣治

2020年9月18日

企画展概要

ギャルリー・アルマナック吉祥寺 2018/11/1(木)~11/30(金) open 11:00~19:00 無休
[常設展示] 藤田 嗣治

画家ルイ・イカール(1888-1950)が活躍した1920~30年代のパリでは、‟アール・デコ(Art Deco)”と呼ばれる、都会的でモダンな装飾美術様式が一世を風靡していました。
街角の花売り娘からモデルや踊り子、夜の街に生きる女性まで、活き活きと働く女性たちをより輝かせるための新たなモード文化が華開くと、パリは世界の文化・芸術・ファッションの中心となります。

妖艶で美しく、きまぐれで可愛らしい…そんな、たくさんの魅力にあふれたパリジェンヌ達を描いたのが、アール・デコの華と呼ばれる画家ルイ・イカール。
彼の理想とする当時の女性像は、今もなお、多くの人々を魅了してやみません。

11月のギャルリー・アルマナック吉祥寺では、ルイ・イカールの描く≪パリジェンヌ≫たちを大特集!
イカール存命中に制作されたオリジナル・エッチング約30余点を展示・販売致します。

アール・ヌーヴォーからアール・デコへ ー モダン・ガールが闊歩する新時代のパリ

‟アール・デコ”は、1900年代初頭に世界を席巻した‟アール・ヌーヴォー(Art Nouveau)”芸術に反するような形で、1920年頃から台頭し始めた装飾美術スタイルです。
上図3点はルイ・イカールによるエッチング。黒や白を基調としたシンプルな背景に、軽やかで動きやすそうな衣服をまとう女性たちが躍動感いっぱいに描かれています。

対して、下図3点はアルフォンス・ミュシャ(1860-1939)が大女優サラ・ベルナールをモデルに制作した劇場用ポスターです。アール・ヌーヴォーらしい、曲線を駆使して描かれた緻密で華やかな描法です。
アール・ヌーヴォーとアール・デコは、静と動、豪奢とシンプル、伝統とモダン、というように真逆といってもよい性質の装飾デザイン様式なのです。


アールヌーヴォー時代は、ミュシャのほか、ジャポニスム(日本趣味)に強い影響を受けたエミール・ガレ(1846 – 1904)ら天才ガラス工芸作家たちや、パリの地下鉄入口を設計した建築家のエクトール・ギマール(1867-1942)らが活躍します。
彼らにより、ガラスや鉄、木といった産業素材に、有機的な植物や昆虫の形を施した美しいフォルムのガラス工芸作品や彫刻、家具、建築物の傑作が次々と生み出されました。

 

 

 

 


しかし1915年以降から、人々はアール・ヌーヴォーの華美な装飾デザインよりも、必要最低限の要素だけを残したシンプルモダンな‟アール・デコ”デザインに傾倒していきます。
背景にあるのは、女性の社会進出など、伝統に対する革新の波。
1900年代初頭までのヨーロッパの女性たちは、男性優位な社会の中で、彼らの好む従順な淑女を演じることにうんざりしていました。
不自然に胴体を閉めつけるコルセットを身に着け、大きく膨らんだスカートを身に纏わされ…その価値観を大きくひっくり返したのが、後に服飾デザイナーのココ・シャネルが打ち出したシャネル・スーツ。

 

photo by Shasie’s World (http://www.live-life-in-style.com/)

柔らかな素材を用い、ストンとしたフォルムのワンピースは、腰回りがゆったりとして動きやすく、それまで喪服にしか使われなかった黒は女性の美しさを一層引き立てました。

彼女達は重いドレスを脱ぎ捨てると、こぞってシャネルスーツを着込み、外に出て働き出します。
自分で稼いだ給金でお酒を飲み、煙草を吸い、好きな人と恋をする。
そうして、人生を謳歌する喜びを得たのです。


 

そんな彼女たちをもっとも愛し、魅力的に描いた画家がルイ・イカールです。

イカールは1888年、南フランスの都市トゥールーズの銀行家の家に生まれました。
10代で演劇を志し、兵役を経て20代で花の都パリへ。
演劇の世界に魅力を感じながらも俳優の道は遠く、生活資金を稼ぐために1900年初頭からポストカードの絵付けの仕事を手がけます。

絵画を正式に習ったことがないイカールは、当初はボナールやシェレ、ロートレックなど巨匠たちの版画の下絵にひたすら彩色を施しましたが、やがて自身で描き始めます。
人気のテーマは都会的で洗練されたパリジェンヌやエロティックな裸婦など、まさに、その後のイカール作品のメイン・テーマとなるものでした。
またこの時、ポストカード製作に必要な銅版画の技術を習得したことで版画家としての道が開け、更に独自の世界観を創り出す下地となったのです。                                      

同時期のパリでは、マティスやピカソらが牽引するフォーヴィスムやキュビスムの運動が盛んでしたが、イカールは彼らからまったく影響を受けておらず、むしろルーヴル美術館で観たロココ絵画に高い興味を持ったということです。
それは彼が一貫して描き続けた、ほっそりと柳腰の優雅でコケットな女性像をみても明らかですね。

ルイ・イカール「おしゃべり」
「おしゃべり」1926年

その後、モード誌などにイラストを描きながら本格的に銅版画を制作し始め、個展を開催すると大好評を博します。
彼の作品はやがて海を渡り、アメリカ大陸で絶大な人気を得ました。
しかしその成功は長く続かず、第二次大戦の始まりと前後して、人々はイカールの作品を忘れていきます。
それはさながら、アール・デコの到来をきっかけに、人々に長く忘れられることとなったアール・ヌーヴォー美術のようでもありました。

1950年にイカールがモンマルトルの邸宅で息を引き取ると、彼の妻が画家の作品をひっそりと管理し、それは彼女が亡くなる1970年頃まで続きました。
画家ルイ・イカールの作品が再び脚光を浴びるようになるのは、妻の死後。

現在、イカールの版画作品はフランスやアメリカで高値で取引され、アトリエ・ブランカがお取扱いする作家の中でも特にお問い合わせが多い画家の一人です。


アール・デコが席巻した1920年代~1950年は、二度の世界大戦を経て、様々な芸術運動や思想の変革が渦巻いた激動の時代でした。
そんな時代に、お洒落で粋なパリジェンヌたちを描き続けたルイ・イカール。
彼の愛に満ちた絵画の数々をぜひ今秋、吉祥寺のギャルリー・アルマナックでご覧ください。

アトリエ・ブランカが取り扱うルイ・イカール作品はホームページからもお買い求めになれます。


 

【常設展示】藤田嗣治

アトリエ・ブランカはこれまで、藤田嗣治の作品を数多く扱ってきました。
10月に引き続き、藤田作品の中でも特に人気の高い、‟子ども”や“猫”をテーマにした版画(エッチング、リトグラフ、木版)、素描、水彩画にスポットを当てながら、秀作の数々をご紹介させていただきます。

 



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展示風景

 

 

 


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・TEL 0422-27-1915 (ギャルリー・アルマナック 吉祥寺)

ギャルリー・アルマナック 吉祥寺
営業時間:11:00~19:00 会期中無休
住  所:東京都武蔵野市吉祥寺本町2-18-15 アクセス

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