作品解説
ポートフォリオ集『エルサレムのための12枚のステンドグラスの下絵』
DOUZE MAQUETTES DE VITRAUX POUR JERUSALEM
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制作年 : 1964年
限定部数:75部 (作家保有10部、非売品署名入り数部)
制作工房: ムルロ工房
技法 : リトグラフ
テキスト: ジュリアン・カーン
刷り師 : シャルル・ソルリエ |
イスラエルの首都、エルサレムの西「ハダッサ」に「ユダヤの丘」と呼ばれるなだらかな山があります。その頂上に1959年「シナゴーク(ユダヤ教の教会)」が建設されることになりました。その年の6月、シャガールは正式に教会からステンドグラス制作の依頼を受け、翌年から制作にかかり、1961年に12枚のステンドグラスを完成させました。
それらは、旧約聖書に登場するヤコブの12人の子孫である12支族をテーマにしたもので、それぞれは赤、青、黄、緑に大別され、338×251�� の大きさで制作されました。12面のステンドグラスにはそれぞれの支族の名前が付けられていますが、ユダヤ教は偶像崇拝を禁止しているため、人物画の表現はされていません。
1964年、このステンドグラスの完成を記念して『エルサレムのための12枚のステンドグラスの下絵』を刊行。
見出しと章末には、フランス学士院会員のジュリアン・カーン(Julien Cain 1887-1974)の文章が添えられ、限定75部(作家保有10部、非売品署名入り数部)出版されました。
本作は、ポートフォリオ集に収録された12枚のステンドグラスの格子付バージョンのリトグラフの中の1点です。
刷りはムルロ工房の名摺り師シャルル・ソルリエが手掛けました。20〜30色の版を用いることで見事な色彩のハーモニーを生み出しています。
※シャルル・ソルリエ Charles Sorlier(1921-1990)
仏美術史上最も重要な版画家の一人。
1948年にフェルナン・ムルロの版画工房「ムルロ工房」に入り、摺師として40年以上勤務した。
ソルリエの高い技術力と優れた芸術的センスは、パブロ・ピカソ、アンリ・マティス、フェルナン・レジェなど、多くの著名な芸術家らから絶大な信頼を受け、彼らの監修のもと数多くのリトグラフを制作した。
ソルリエの最も著名な仕事として、マルク・シャガールとの共同制作が挙げられる。二人は良き友人でもあり、仕事のパートナーとしても親密な関係を築いていた。
シャガールのオリジナル版画を手掛けた他、シャガール監修による高品質の複製版画(『ソルリエ版』と呼ばれる)を制作した。
ソルリエの熟練技術とシャガールの絵画スタイルとの組み合わせは『ゴールデン・カップル』と呼ばれた。
略歴
マルク・シャガール Marc Chagall(1887-1985)
1887年ロシア生まれのユダヤ人(後にフランス国籍を取得)。バクストの美術学校で学んだ後、1910年パリに移住。1914年ロシアに戻り、革命後は美術行政にも関わるが、1922年に再びパリへ。第二次世界大戦中は迫害を受け、アメリカへ亡命。1947年にフランスに帰国。前衛的な作風で描かれた花々や動物、抱擁する恋人たちなどの作品は高い評価を得た。油彩の他、挿絵や版画、ステンドグラスなども精力的に制作。20世紀を代表する画家の1人。