絵画がテーマの映画3本

ブログをお読みいただきありがとうございます。
久しぶりの更新になりますが、今回は絵画作品をめぐる映画3本をご紹介させてください。

まずは、ルーヴル美術館のナイトミュージアムツアーにご招待。
美術館公式のドキュメンタリーです。

2019-20年に開催された大回顧展では、ルーヴル所蔵作品のみならず、エルミタージュ美術館やヴァチカン美術館の名品も集められ、107万人という史上最多の入館者を迎え入れました。

誰もいない夜中の展示室を撮影したフィルムはレオナルド・ダ・ヴィンチの本質をわかりやすく解き明かします。
高精細度カメラによる圧倒的な映像体験は、実体験に勝るとも劣らない充実した2時間でした。

レオナルドの特異性は<生命>そのものを絵画で表現しようとしたこと。
500年という年月を経てもなお、作品の中で生き続ける人物たちの揺らめきが捉えられていました。

映画の締めくくりはやはり、世界で最も有名な絵画、「モナ・リザ」。
フランスではモデルの名から「La Joconde」と呼ばれるこの絵が来日したのが1974年。
そしてそれを最後にルーヴルから不出の身となり、厳重なガラスの間から移動を許されることはもうありません。

500年という長い年月の間、数えきれないほど多くの人々が魅了されたモナ・リザ、そしてレオナルドの唯一無二の才能にあらためて畏敬の念が湧いてきました。

また、カメラが美術館内を巡るシーンはルーヴルへの再訪、さらに世界中の未訪の場所への憧憬を呼び起こしてくれます。
普段は気軽に出掛けていたアートスポットから足が遠のいている方が多いのではないでしょうか。
このような状況下だからこそ、美しいものにふれ、気持ちを豊かに保ちたいものですね。


2本目は以前のスタッフブログでも取り上げた『みんなのアムステルダム国立美術館へ』の映画作家、ウケ・ホーヘンダイクによるドキュメンタリー。

美術系のドキュメンタリーは時折少し睡魔におそわれてしまうものもありますが、そんな心配は全く不要です。

レンブラントの新たな油彩画を発見したオランダの青年画商ヤン・シックス。
ロスチャイルド家が所有していた名肖像画2点の獲得を目指すルーヴル美術館とアムステルダム国立美術館の争い。
スコットランド、バックルー公爵邸における老婦人肖像画の飾り替え。
さらに、アメリカの富豪コレクター、カプラン氏が語る美術品の公共性。

これらのエピソードが小気味良く交差する中、レンブラント作品の接写映像やヨーロッパ各国の風景が挟み込まれる構成にワクワクさせられました。
とりわけフランス VS.オランダの白熱したバトルは見ごたえ十分!

レンブラントファンならおそらくご存知の名前 “ヤン・シックス”。
そう、レンブラントの最も有力なパトロンかつ親しい間柄であった実力者で、有名な肖像画が残されていますね。

本編の主役ヤン・シックスはその直系の子孫にあたる11世。
レンブラント作品に囲まれて育った御曹司ヤンの鑑識眼はさすがで、この映画に登場した油彩画の他にも新たなレンブラント作品を発掘しているそう。


最後はフィンランド発、小粋なフィクション映画を。

ヤン・シックスとは何もかも対照的な(!)くたびれた老美術商オラヴィが主人公。
小さな画廊を営んできましたが、売上はふるわず、引退も考えざるを得ない日々。
そんな折、オークションに出品されたノーサインの油彩画に心奪われ、“最後の取引”に奔走します。

仕事一筋に打ち込んできたオラヴィの生き様が北欧の空気感と共に丁寧に紡がれた物語。
同業ならではの共感も多々あり、弊社スタッフの間でもひとしきり話題となった一本です。


アトリエ・ブランカでもオールドマスターの複製版画、100年以上前の希少古版画等を取り揃えております。

気になる作品などがございましたら、お気軽にお問い合わせください。

(K・T)