藤田嗣治の書簡 シュジーとイヴォンヌへ
こんにちは。
ブログをお読みいただきありがとうございます。
このたび、藤田嗣治の個人的書簡を入荷いたしました。(作品ページはこちら)
この絵手紙はシュジー・ソリドール(1900-1983)とイヴォンヌ・ド・ブレモン・ダルス(1894-1976)に宛てられたもの。
シュジー・ソリドールについては過去ブログで詳しくご紹介しています。ぜひご一読を。
イヴォンヌは骨董商として成功し、作家としても活躍した才女。
彼女たちは当時、公認のカップルでした。
この”レ・ザネ・フォル(狂乱の時代)”に女性たちは恋愛にも自由を求め、レズビアンエイジを築いたと言われます。
藤田のこの手紙にも「イヴォンヌはいつもシュジーに見惚れてるよ」とありますね!
この二人がモデルの藤田作品。墨で描かれています。
シュジーの近くで寛いでいるのは愛犬パシャ。
「パシャは日本のことなんかどうでもいいみたい」という藤田のコメントがなんともユーモラス。
シュジーとパシャ、そして藤田がドーヴィルで休暇を過ごしている写真が残されています。
この後すぐの1927年9月5日。
パリへ帰る藤田がドーヴィルに残るシュジーとイヴォンヌに宛てた手紙も二人への想いがあふれています。
AU REVOIR MES ENTANTS ADOREES
je vous aimes tout les deux A LA FOLIE
さようなら 大好きな子どもたち
わたしはあなたたち二人にとても夢中です
quelle triste separation
VOUS M’AVEZ HONTEUSEMENT GATEE PENDANT NOTRE SEJOUR
なんて悲しいお別れ
滞在中はあきれるほど歓待してくれましたね
藤田がシュジーとイヴォンヌの肖像画を制作したのはこの楽しいヴァカンスの後のこと。
パシャもいますね!
背景に金箔を用いた華やかな傑作が生まれました。
(画像は1928年に刊行された『FOUJITA』(クロニック・デュ・ジュール出版)より)
時は流れ、、、イヴォンヌが1956年に出版した『花のパリの出来事』の表紙を藤田が手掛けています。
旧友の半自伝的な小説を華やかに彩る仕事には藤田の特別な想いが込められているような気がします。
今月のギャルリー・アルマナック吉祥寺では藤田嗣治展を開催しています。
昨年末にパリより持ち帰った新入荷作品や再入荷の希少版画など魅力的な作品が揃いました。
ご来廊を心よりお待ちしております。
詳細はこちら
(K・T)