デュフィ×ドルジュレス『ヴァカンス・フォルセ』のご紹介

こんにちは。
ブログをお読みいただきありがとうございます。

ギャルリーアルマナック吉祥寺 デュフィ展 電気の精吉祥寺店で始まりましたデュフィ展、ご来廊されたお客様より大変好評をいただいております。
リトグラフ「電気の精」10点が煌めくギャラリーにぜひ足をお運びください。

見どころは「電気の精」だけではありません!
先月の「藤田嗣治 美しき挿画本の世界展」に引き続き、今月も魅力的な挿画本の数々をご紹介しています。
存命中のデュフィが手掛けたものから、没後に友人たちが追悼作品を寄せたものまで、限定制作の稀少本がずらり。
過去のブログでもいくつかをご紹介しております。
ぜひご一読ください。

デュフィ挿画本『植物誌』のご紹介
テーマはワイン!デュフィが手がけたお洒落な挿画本『モン・ドクトル・ル・ヴァン』のご紹介
デュフィ版画集『マドリガル』『コクトーによるデュフィ』『画家への手紙』のご紹介


 
本日ご紹介いたしますのは『ヴァカンス・フォルセ(強いられたヴァカンス)』。
デュフィの没後、親友であった作家ドルジュレスが文章を綴り、挿絵となるデュフィの原画を選びました。

ロラン・ドルジュレス(本名:ロラン・レカヴレ,1885-1973)はエコール・デ・ボザールで建築を学んだ後、モンマルトルで自由気ままな生活を送ります。
集合アトリエ、”洗濯船(Le Bateau-Lavoir)” でデュフィのほか、大勢の若き作家や芸術家 ― アポリネール、マックス・ジャコブ、ユトリロ、モディリアーニ、パスキンら ― と交友。

その後はジャーナリストとして活躍しますが、1914年から第一次世界大戦に従軍。

自らの戦争体験を元に、1919年に発表した小説『木の十字架』は高い評価を受けます。
プルーストの『花咲く乙女たちのかげに』に敗れ、ゴンクール賞は2票差で逃しますが、フェミナ賞を受賞。
愛国的反戦文学作家としてフランス国民から圧倒的な支持を得ます。

1940年よりドイツ軍の侵攻を逃れようと南仏のあちこちに居を構えたドルジュレス。
1942年夏にカシス(マルセイユの隣町)で偶然デュフィと再会してから、旧知の二人は意気投合し、モンソネスのドルジュレス夫妻宅で過ごすことが多くなります。

1944年のパリ解放まで田舎に閉じ込められたこの時期のことをドルジュレスは諧謔の意を込めて “強いられたヴァカンス” と呼び、本書の中で述懐しました。

デュフィ「ムーラン・ド・ラ・ギャレット(ルノワールに倣って)」1943年

《完成したばかりの作品をデュフィは見せてくれた。
それは、模写ではなく、置換と呼ぶべきだろう、あの「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」だった。
奇跡のようにそれは「ルノワール!」であり、同時に「デュフィ!」でもあった。
デュフィは言った。
「水彩は既に描いた。楽しかったから、油彩もやってみたんだ。
画家はみんな、一度は過去の名作を自分の画風で模写すべきだよ。
ただ好きだっていうより、素晴らしい訓練になるからね。」》

(本文より拙訳)

 

また、出会った頃のまだ無名で、困窮していたデュフィのこと、例えば最初の挿画本、アポリネールの『動物詩集』が全く売れなかったというエピソードなどが明かされています。

収録された挿絵は、デュフィが描き残した作品を版画家ジャック・ベルトランが木口木版画に起こした全24点。
どれもデュフィらしい、軽やかな筆致と色遣いが再現されています。

弊社では完本でのお取り扱い、また額装した挿絵のみの販売も行っております。
下記より詳細ページをご覧くださいませ。

『ヴァカンス・フォルセ』はこちら
デュフィ全作品はこちら

10連休のゴールデンウィークまであと4週間。
強いられたヴァカンス(?)のご予定はお決まりでしょうか?
吉祥寺店と4/13からオープンする軽井沢店にて、皆様にお会いできますことを楽しみにしております。

(K・T)