愛の物語『ダフニスとクロエ』

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ブログをお読みいただきありがとうございます。

2世紀頃の古代ギリシャでロンゴスがしたためた『ダフニスとクロエ』。
この物語を元としたバレエのためにモーリス・ラヴェルが作曲した音楽の方が有名かもしれません。

1904年、前回のブログでご紹介したイサドラ・ダンカンのロシア公演を観たミハイル・フォーキン。
当時、ロシア帝室バレエのダンサーだったフォーキンは古代ギリシャ風の衣装をまとって自在に踊るイサドラに感銘を受けました。

その後、振付家となったフォーキンは古代ギリシャの要素を取り入れたバレエを生み出します。
『ダフニスとクロエ』はそのひとつで、バレエ・リュスによりパリのシャトレ座にて初演(1912年6月)。

初演時の振付は残念ながら現在に伝わっていませんが、後年さまざまな振付家による再構成がなされました。
ラヴェルによる楽曲は独立して演奏されることも多く、あまたの音楽ファンを魅了し続けています。

また、多くの画家たちも二人の純愛に心を動かされ、絵画作品を残しました。

挿画本としては、1902年のボナール、1961年のシャガールが特に知られています。

 

物語のあらすじをシャガール作品とともにご紹介いたしましょう。


シャガール ドリュアスによるクロエの発見

舞台はエーゲ海に浮かぶレスボス島。

捨てられた男の子を見つけた山羊飼いは「ダフニス」と名付け、育てます。
※「ダフニス」はギリシャ神話に登場するシチリアの羊飼いの名。

2年後、ある羊飼いは捨てられた女の赤ちゃんを拾い、名を「クロエ」とし、面倒を見ます。
※「クロエ」は”青々とした”あるいは”若葉”の意。

成長した二人は、一緒に山羊飼い、羊飼いとして仕事をするようになりました。


水浴をするダフニスの身体を見たクロエはその美しさに恋に落ちます。

その頃、牛飼いのドルコンはクロエに想いを寄せていました。
ドルコンとダフニスは、どちらが魅力的かで口論。
勝者のダフニスにクロエが口づけをし、この時から、ダフニスもクロエを意識するように。

ある老人が二人に恋に効く薬の話をします。
1、抱き合う
2、接吻する
3、裸で一緒に寝る
1と2は問題ありませんが、3がよくわからない二人…。

シャガール クロエの誘拐また、海賊が町を襲い、ダフニスがさらわれたり、戦争でクロエが囚われの身となったり、様々な苦難を乗り越えていきます。


シャガール 結婚
年頃となったクロエに求婚者が多数現れ、落ち込むダフニス。しかし、二人とも高貴な出自であることが判明し、盛大な結婚式が開かれます。
皆の祝福のうちに、二人は永遠の愛を誓いました。


まさに絵に描いたようなハッピーエンド。
愛の画家、シャガールの本領が遺憾無く発揮された美しい挿画は観る者を物語の中へ引き込みます。
 

シャガール 小牧場の春 リトグラフ
ただいま弊社でお取扱い中の「小牧場の春」。
物語の導入部、少年ダフニスと少女クロエに訪れた新しい春を描いた傑作です。
作品ページはこちら


シャガール 果樹園 リトグラフ
「果樹園」の左半分を再構成したポスターの文字を入れる前の希少な刷りも入荷いたしました。
シャガールの直筆サインが画面右下に入れられています。
作品ページはこちら

 

牧歌的でありながらドラマティックな物語の世界が余すところなく表現されたシャガールの『ダフニスとクロエ』。
古代より脈々と受け継がれてきた人間愛の尊さが画面から溢れているように感じます。
ご質問等ございましたら、お気軽にお問い合わせくださいませ。

シャガールの全作品はこちらよりどうぞ

(K・T)