【企画展 軽井沢】藤田嗣治・子どもと猫の絵画展

企画展概要

アトリエ・ブランカ軽井沢  2018/9/18(火)~12/9(日) open 10:00~18:00 木曜定休

「猫のいる自画像」
                                  

先日のブログでも触れましたが、藤田嗣治が81歳で亡くなってちょうど50年目となる本年、7月~10月初頭に、東京・上野の東京都美術館で「没後50年 藤田嗣治展」が開催されています。

10~20代の頃の瑞々しい感性で描かれたポートレイトから、祖国を捨てるほどの苦悩や哀しみを経て、なお残る人間愛を神秘的な宗教画に昇華させた晩年に至るまで、藤田嗣治の生涯にわたる代表作を時代ごとに三つのフロアに展示。
画家・藤田嗣治の集大成とも言える、史上最大規模の回顧展となっています。
また、NHKの日曜美術館でも、誤解と謎の多い藤田嗣治という画家について特集を組み、彼の生きた時代背景を映しながら、その真実の姿に迫っています。

長年にわたり藤田嗣治の作品を扱ってきた当ギャラリーも、今季最大の企画展として藤田嗣治を大特集!
藤田作品の中でも特に人気の高い、‟子ども”や“猫”をテーマにした版画(エッチング、リトグラフ、木版)、素描、水彩画にスポットを当てながら、秀作の数々をご紹介させていただきます。

対象への深い愛情で魅せる藤田嗣治の「子ども」

 

アトリエ・ブランカはこれまで、藤田嗣治の作品を数多く扱ってきました。
中でも特に人気が高いのが「子供」と「猫」をテーマとした作品です。

上図の「猫を抱く少女」(左右とも同タイトル)というオリジナル版画は、微笑を浮かべながら猫を抱いている優雅で可愛らしい少女像。どちらもリトグラフ(石板)で制作されており、一枚一枚に藤田のサインが入れられています。

《 挿画本『小さな職人たち(Petits Metiers et Gagne Petits)』と『四十雀(LA MÉSANGÈRE)』》

 

挿画本『小さな職人たち』(1960年刊行)や『四十雀』(1963年刊行)では、「猫を抱く少女」よりさらに幼い子ども達の姿が描かれています。
頭が大きくて額が広い三頭身の子ども達は、人形のようにつんとすました表情で立っていたり、お金を数えるのに必死だったり、怪しい占い師だったり、浮浪者や売春婦の格好をしているものまで、一筋縄ではいかない子ばかり。
パリに生きる市井の人々を、子ども達の姿に変えて描いているのですが、ユーモラスで少し毒を含む洒脱な筆致が、藤田らしくとても面白い作品です。
このように、藤田の描く子どもの絵は、単純に愛らしいものから、個性的なものまで、様々な表情をもっています。

カワイイ猫、美しい猫、怖い猫

藤田の「猫」は、小さな肉球やその隙間から覗く産毛まで丁寧に描いて子猫の可愛らしさを追求したと思えば、ずんぐりむっくり、口の端からキバが見えている大きなドラ猫や、鷹揚に横たわる優雅な猫、闘争本能むき出しに暴れまわる猫など、様々な様相を見せてくれます。
浮世絵のように繊細な筆致で、細い毛の一本一本まで描かれた柔らかな猫の姿態は、今にも動き出しそうな生命力に溢れています。
猫を描いた代表的なシリーズに、エッチングの連作『猫十態』(1929年刊行)があります。
下図は、10点の連作のうちの3点。

子どもの絵のようにデフォルメされた描き方がある一方、猫については自然な姿を写実的に描き、生物としての可愛らしさ、逞しさ、尊さを忠実に、丁寧に表現しています。

子どもと猫、両者に共通するのは「小さくて弱くて愛おしい存在」という点でしょうか。
人々に誤解され時代に翻弄されながらも、自分の信じる道を突き進み、絵筆をとり続けた孤高の画家・藤田嗣治の愛情深い一面がひしひしと伝わってくるテーマです。

展示風景

展示風景

展示風景

 


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お問い合わせ
・TEL 0267-42-2320 (アトリエ・ブランカ 軽井沢)

アトリエ・ブランカ 軽井沢
営業時間:10:00~18:00(今季最終日:12月25日) 木曜定休
住  所:長野県北佐久郡軽井沢町大字軽井沢859-1 アクセス

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