【吉祥寺店】3月「ラウル・デュフィ展」開催中!

こんにちは。

悪夢のような大寒波から解放され、ようやく春の気配を感じる季節となりましたね。
穏やかな太陽の光を感じていると、自然と視線も上向きになり、気持ちも前向きにしてくれます。
この季節は、いつもの景色でもより色彩を感じやすく、目から受ける感覚の大切さを改めて感じたりします。

ラウル・デュフィ「アネモネとシスター」
『モン・ドクトル・ル・ヴァン』より・1936年・コロタイプ

 

さて、 今月の企画展は「ラウル・デュフィ」。

リズミカルで軽やかな筆致と、豊かな色彩が魅力的なフランスの画家です。
デュフィが生涯テーマとしたのは、生まれ育った美しい港町ル・アーブルや南仏プロヴァンスの風景、生き生きと咲く草花、そして音楽・・・。

ラウル・デュフィ「ヴァイオリニスト」
『天使のコンサート』より
1963年・リトグラフ・ED305

ラウル・デュフィ「オーケストラ」
没後50周年記念版画・2003年・ED250

様々なモチーフの作品を描いたデュフィですが、晩年に取り組んだテーマは「音楽」。

デュフィの両親は音楽家でもあり、弟二人もプロの音楽家、そして自身もヴァイオリンを奏でるなど、音楽は切っても切り離せない存在でした。
そんなデュフィにとって、「音楽」をテーマにすることは、ごく自然なことだったでしょう。

 

しかし、本格的にテーマとして取り組んだのは晩年のこと。

 

それまで、美しい風景画の数々、挿絵、テキスタイル、壁画など意欲的に取り組んできたデュフィですが、その後リウマチを発症してからは、度々弟と共に訪れる劇場での、演奏家たちの表情や動きを見事に描いた連作を描きます。
そこには、親交の深かった指揮者の、シャルル・ミュンシュ率いるオーケストラのリハーサル風景での数々のスケッチをもとに描いた作品も。
演奏家をより近くで描くことで、細やかな動きや、息遣いまで感じられる力強い作品が生まれていったのでしょう。

 

まるで残りの人生を謳歌しているかのような、生命力あふれる作品の数々。

様々な楽器が奏でるハーモニーが美しい「コンチェルト」や「オーケストラ」。
演奏家と観客とが一体となった瞬間に湧き上がる、歓声と拍手が今にも聞こえてきそうですね。

ラウル・デュフィ「モーツァルトに捧ぐ」没後50周年版画
2003年・リトグラフ・限定250部

そんなデュフィの作品には、敬愛する作曲家へのオマージュとなる作品も。

「音と色彩」を常に模索していた、デュフィの感性が、見事に表現された作品が生まれます。

バロック的で、重厚感のあるバッハは赤。
草木のように、流れるような旋律が魅力的なドビュッシーは緑と黄色。
そしてモーツァルトは青といったように…。

何処からともなく、モーツァルトのピアノソナタの軽やかな旋律が聴こえてくるような気がします。

ラウル・デュフィ「バラとミモザの花束」
フェリエのテキスタイル・1930年頃・水彩

ラウル・デュフィ「モード・クロッキー・Ⅴ」
『ガゼット・デュ・ボン・トン』第1号・1920年

今回の展示会では、その他にも、デュフィの装飾美術家としての魅力を発揮した
テキスタイルデザインや当時流行したファッションのデザイン画など、稀少な作品も展示いたします。

*デュフィの他の作品はこちら

この機会に、春の陽気にぴったりな、デュフィの色彩の世界をご堪能ください。
皆さまのご来廊をお待ちしております。会期は3/31(土)まで。

(M・M)