【5月企画展】ギャルリー・アルマナック吉祥寺「パリ、石版画の黄金期展~ミュシャからシャガールまで~」スタート!

こんにちは。
ブログをお読みいただきありがとうございます。

本日は毎月恒例、新たな企画展のため作品を入れ替える模様替えの日。
テーマや作家を変えて、昨日までとは異なる作品たちが一堂に展示されると、同じ空間とは思えないほど雰囲気ががらっと変わり、毎度新鮮な気分にさせてくれます。

そんな展示替えの様子を少々ご紹介。
月に一度、時にはハードな肉体作業ではありますが、飾り替えの後、美しくディスプレイされた作品たちを見れば疲れも一気に吹き飛ぶような?気がします。

その月の展示を終えた作品たちは、傷がつかないよう一点一点黄袋に収められ、その後丁寧に差し箱/たとう箱に収納。
ご縁のあるお客様が現れる日までしばしの間、お休みです。
店内でも常時数百点の絵画・版画を収蔵しておりますが、大方の作品は、こののち倉庫の方に移され保管されます。

黄袋と差し箱 搬出待ちの作品たち

さあ、いよいよ新しく店内に搬入された絵画の掛け替えです。
何も掛けられていない真っ白な壁は、さながら大きな一枚のキャンヴァスのようで、これからどんな風にまとめられ展示が仕上がっていくのか、楽しみです。
掛ける場所や高さ、他の作品との兼ね合いによっても見え方が異なってくるので、お客様の視点に立ちながら、慎重に作品の掛け位置を調整しなければいけません。

そして、数時間後、無事に展示替えが終了。明日からいよいよスタートの新しい企画展、「パリ、石版画の黄金期展~ミュシャからシャガールまで~」がお目見えしました。

今月は、木版画、銅版画、石版画、シルクスクリーンなど数ある芸術版画の中から、19世紀末に爆発的に流行し、20世紀に飛躍的進化を遂げた石版画(リトグラフ)を特集。
(詳しくは、是非前回のブログを参照ください)

注目の出品作品を数点ご紹介しましょう。


ラウル・デュフィ「フランスの春 パリ」(1958年頃 フォトリトグラフ) 額サイズ:118×82cm

 

花の都、パリ。
華やかな芸術が群雄割拠する麗しの街。
この場所はいつの時代も私たちを惹きつけてやみません。
本作は、その魅惑的な都市パリを宣伝する目的のため、フランス政府が画家ラウル・デュフィの作品を元に手がけたポスター。
街のシンボルともいえるセーヌ川とエッフェル塔を筆頭に、よく見れば、モンマルトルのサクレ・クール寺院やマドレーヌ寺院、ルーブル美術館やナポレオンが眠るアンヴァリッド(廃兵院)まで見えますね。
デュフィらしい生き生きとした溢れる色彩で、きっと観る者を高揚させたことでしょう。
明るい作品で、お部屋のインテリアとしても抜群の一点です。


マルク・シャガール「赤い馬と太陽」(1979年 リトグラフ) 額サイズ:53×64cm

 

道化師のような人物に体をくねらせアクロバットをする人物。
赤い馬に乗った曲芸師のパフォーマンスが今から始まるようです。
その様子を息をのんで眺める観客たち。
サーカスの一場面が描かれているのでしょうか。
幻想的な雰囲気の中でひときわ存在感を放つ、太陽も見えます。
ヴァイオリンを手にした大きな太陽は、これから始まる見世物のためにしつらえられた奏楽団員かもしれません。
まるで、太陽の奏でる音楽が聞こえてきそうな一枚です。
本作は、画商エメ・マーグ(1906-1981)が主催した個展のために制作したカタログ『デリエール・ル・ミロワール』の第235号に収録されました。


アルフォンス・ミュシャ「装飾資料集のポスター」(1901年 リトグラフ) 額サイズ:95×66cm

今月の企画展「パリ、石版画の黄金期展」はアルフォンス・ミュシャなきには語れません。
アール・ヌーヴォー芸術の礎を築いたその巨匠は、1902年、ある画期的な試みを行ないます。
それは、当時、絶大な人気を誇っていた自身の人物デザインや装飾パターンなど、画家にとっては命ともいえる「デザインのアイデア」を公に出版すること。
『装飾資料集』、『装飾人物集』として刊行されたその”教科書”は、後世への教育に大いに役立てられたことでしょう。
本作は、その出版を宣伝するために制作された告知ポスターです。 

この他、ポスターサイズの大作から小ぶりな作品まで、およそ50点を出品。
そのどれもに、画家と石版画職人たちの息遣いを間近に感じるようです。
美しい版画芸術を味わいにどうぞ、お越しくださいませ。
会期:~5/31(水)

(R・K)