【12月企画展開催予告】ギャルリー・アルマナック吉祥寺「藤田嗣治 遺作展」


こんにちは。
ブログをお読みいただきありがとうございます。

当店の店先の鉢に植えられた立派なハナミズキ。
毎年5月頃に咲き誇る美しい白花の開花に向けて、今年も越冬の準備を進めているようです。

一枚、また一枚とヒラヒラ舞い落ちる色づいた葉が年の瀬の近さを実感させてくれます。

来月に迫ったクリスマスシーズンに向けて、吉祥寺駅前もイルミネーションの点灯が始まった今日この頃。
2016年は皆様にとってどのような年でしたか?

ギャルリー・アルマナック吉祥寺の今年はというと、竹久夢二を特集した新春企画から始まり、長谷川潔や浜口陽三ら日本人作家を特集した初めての展示、
また、ルノワールやシャガール、デュフィ、マティスなど言わずと知れた巨匠画家の作品展に加えて、アール・デコのファッション画や画家が描いた絵手紙を特集するなど、今年もバラエティに富んだ展覧会を月ごとに重ねてまいりました。

そして最後の月は、2016年を締めくくるにふさわしく今年も藤田嗣治の特別展開催を決定!
いわゆる<君代夫人コレクション>と呼ばれる、画家没後アトリエに遺された水彩、素描や秀作版画など稀少な作品約40点を一堂にご覧いただけます。

この<君代夫人コレクション>は、単に思い出にと、藤田が亡くなるまで傍らに置いておいた作品を寄せ集めたものではありません。
その背景には、どのような思いが隠されているのでしょうか。

雪のように白い肌を持つことから「ユキ」と呼び、1920年代の創作活動を支えた妻リュシー・バドゥとの別離後、藤田はパリでの生活に行き詰まりを感じ、新しい恋人マドレーヌとともに中南米を放浪。
約二年に及ぶ滞在後、1933年に母国日本へと舞い戻りました。
まだ晴れない思いがあったのでしょうか。
この時点では「パリに戻りたくなかった」と心情を吐露しています。
その後、結果として第二次世界大戦が終わるまでの、長期にわたる日本滞在の理由の一つ。
それは恐らく、ほどなく出会い結婚した君代の存在もあったことでしょう。
藤田の後半生にとって、彼女は何ものにも代えがたい心のミューズとなったのです。

以後1968年に藤田が亡くなるまで寄り添い、喜怒哀楽をともにした藤田と君代夫人ですが、藤田は晩年になると、自身の没後、二回りも年の離れた君代が生活に困らないようにと素描や版画、水彩など思い入れのある作品を「君代のために」と少しづつ残し始めました。

<君代夫人コレクション>は、そうした思いで藤田から贈られ、彼女が2009年に亡くなるまで手放すことなく保管・管理していたもの。
互いを深く慈しみあった藤田と君代夫人の思い出の詰まった今回の展覧会に、どうぞご期待ください。
皆様のお越しを心よりお待ちしております。
開催予定:12/1(木)~12/30(金)

フジタ・チャペルの一角で藤田と君代夫人は未来永劫安らかな眠りについています>

(R・K)