【8月企画展】吉祥寺「マティス展」、軽井沢「パリの異邦人~ミュシャからフジタまで~」開催中!

お待たせいたしました。
ギャルリー・アルマナック吉祥寺およびアトリエ・ブランカ軽井沢では、8月の企画展がいよいよスタート!

今回も、20世紀を代表する巨匠画家たちの見応えある作品が店内を華やかに、そして色鮮やかに彩っております。
それでは早速、最新入荷作品を多数含めた両企画展をご紹介しましょう。

ギャルリー・アルマナック吉祥寺企画展「マティス展」

 

ギャルリー・アルマナック吉祥寺は1年ぶりに「マティス展」を開催。
肖像画の顔に大胆に引かれた緑や青の鮮やかな原色。
1905年のサロン・ドートンヌ展に出品された当時無名のマティスの作品は、20世紀黎明の美術史に大きな衝撃と影響を与え、
”野獣派(フォービスム)”と呼ばれる美術様式が誕生しました。
その後フォービスムの様式にとどまることなく自らの表現や芸術媒体を模索しながらも、色彩の解放と線描に芸術家としての個性を求め続けたアンリ・マティス。
今回の企画展では、その軌跡をご覧いただける約40点をご用意しております。出品作の一部をご紹介します。


マティス「ニース観光ポスター」(1948年、リトグラフ)

ニースへの旅行客誘致のため、フランス政府観光局より依頼され手がけたリトグラフポスター。
色彩の魔術師マティスといえば赤や緑などの華やかな配色が特徴ですが、
こちらの作品ではテーブル上の静物や窓外の風景を際立たせるような背景の黒が印象的。
マティスは一時期、日本の浮世絵やマネの描く油彩画の”黒”に魅了され
色彩としての黒の可能性を追求しており、
ここにもマティスの色彩に対する強い関心がうかがえます。
ピカソの「コート・ダジュール」、シャガールの「天使の湾」と並ぶ、
20世紀の巨匠画家による「南仏3大観光ポスター」の一つ。


マティス「ラ・ポンパドール1」(1951年、リトグラフ)

 

「私にとって肖像画とは、顔のあらゆる線を細かく描くことに専念することではない」と語ったマティス。
生涯にわたりデッサンや肖像画に力を入れた彼は徐々に、写実では表せないモデルの本質を引き出すため余分なものを排除した、極力少ない線での肖像画を探求していきます。 

こちらは、マティスのそうした探求の成果ともいえる作品。ヴェルサイユ宮殿の修復の資金を集める目的で、1951年に制作された限定200部のリトグラフ。

わずか20本にも満たないほどの線のみの表現ながら、人物の顔立ちと高貴な美しさがありありと伝わります。


マティス「インコとセイレーン」(1958年、リトグラフ)

単色の紙を自由自在に切り、そしてそれらを無作為に組み合わせること。
絵筆を持てなくなるほどの大病の末、再び芸術家としての創造意欲に目覚めた70代のマティスは、
切り紙絵という表現媒体を通して新しい境地にたどり着きました。
この作品につけられたタイトルは「インコとセイレーン」。
止まり木でくつろいでいるような青い鳥が左中ほどに、
大きく尾ひれをなびかせた人魚(セイレーン)が右上方で泳いでいるのが見えますね! 

今夏、鮮やかな色彩とさらりとした線が爽やかなマティス作品に触れてみてはいかがですか?
ギャルリー・アルマナック吉祥寺 店舗詳細


アトリエ・ブランカ軽井沢企画展「パリの異邦人~ミュシャからフジタまで~」

旧軽井沢銀座の喧騒を抜けた閑静な一角。
真っ白な木造の白壁が緑陰に映えるアトリエ・ブランカ軽井沢では今月、
「パリの異邦人~ミュシャからフジタまで~展」を開催しております。

いつの世も芸術家に憧憬を与えるフランス・パリ。
特に万国博覧会の開催や産業革命によるブルジョワジーの誕生などで活気に溢れた
19世紀末から20世紀初頭のパリには、自由な生活や働き口を求めて多くの人々がやってきました。

市民文化の勃興したこの時代に、新しい地で芸術家としての成功を夢見て次々とパリへ渡ったミュシャやシャガール、ピカソやミロ、藤田嗣治らも彼らの一人。

今月の特集では、異邦人としてパリにわたり、その弱みを個性に変えながら道を切り拓いていった彼らの知られざる姿が垣間見えるかもしれません。


ミュシャ「JOB」(1897年、リトグラフ)

ミュシャが1897年に制作した「JOB」社の商業広告。
JOBとは巻きタバコ用の紙を販売していた会社のことで、
主力製品である巻紙の宣伝のためミュシャに広告デザインを依頼しました。
16世紀の大航海時代を経て南米よりスペインに流入したタバコは、
19世紀頃にイギリスやフランスにも伝播し、市民の嗜好品として瞬く間に広がります。
当時は切り刻んだ乾燥植物の葉を自分で好みの巻紙に包んで一服する時代。
そこでJOB社創業者のJean Bardouは、
薄い上質の巻紙を持ち歩きに便利なパッケージ型にして販売することを考案。
妖しげに煙をくゆらせる女性の姿を描いたミュシャの広告効果もあり、爆発的ヒットを生み出しました。
ちなみにJOB社の由来は彼自身のイニシャルのJとB。
さらに間にダイヤモンド(菱形)をデザインしJOB社と名付けました。
(JOB社についてさらに詳しくはこちら


藤田嗣治「婦人像」(1951年、素描)

 

端正な顔立ちをした女性の横顔が描かれた、藤田嗣治の習作素描画。

まるでこちらが見ていることに気付いていないような凛と真っすぐに見据えた眼差し。
彼女の視線の先には一体、何があるのでしょうか。
美しい輪郭や華奢な肩ラインの描写が藤田らしいのはもちろん、しなやかな指先の表現に、幼少より浮世絵を研究していた藤田の繊細な技巧がよく表現されています。


ピカソ「コート・ダジュール」(1962年、リトグラフ) シャガール「天使の湾」(1962年、リトグラフ)

先ほどご紹介した20世紀の巨匠画家による「南仏3大観光ポスター」、
マティス以外の2点であるピカソの「コート・ダジュール」とシャガールの「天使の湾」。
ピカソが描いた一枚はまぶしい太陽と紺碧の海が広がる窓辺(左)。
シャガールは湾曲したニースの入り江と立ち並ぶヤシの木を背景に浮かぶ花束を持った人魚を描き、
ニースを象徴する太陽と花という文字を添えました(右)。
どちらも保養地・リゾート地の宣伝にふさわしく、人々の旅行欲を鼓舞したことでしょう。
マティスの「ニース観光ポスター」と合わせて、夏にぴったりの作品です。

その他、長谷川潔や浜口陽三などパリで活躍した日本人画家も特集。
この夏、避暑などでの軽井沢近郊にいらっしゃる方、探訪の折には是非当店へ足をお運びくださいませ。

両展とも会期は8/31(水)まで。多くの皆様のお越しを心よりお待ちしております。

ギャルリー・アルマナック吉祥寺 店舗詳細
アトリエ・ブランカ軽井沢 店舗詳細

(R・K)