2016年1月は新春企画「竹久夢二展」を開催予定です



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待てど暮らせど来ぬ人を

   宵待草のやるせなさ

      今宵は月も出ぬそうな・・・・

恋する乙女の哀切を唄った1918年発表の名曲「宵待草」の一節です。

作詞は大正浪漫を代表する芸術家・竹久夢二。

夢二自身の叶わぬ悲恋が歌詞の基になったと言われ、同名映画も制作されるほどの大ヒット曲でした。
(下の動画で実際にお聴きいただけます)
さて大正・昭和でもてはやされた「夢二式美人」と言えば特徴的なのが、この宵待草のような憂いと郷愁を帯びたか弱い若い娘の姿。

しかし一方で夢二は、当時西洋から徐々に流入していたファッション雑誌や美術雑誌を大量に所有。
アール・ヌーヴォーやアール・デコのイラストレーションやグラフィックの特性を貪欲に自作に取り込みました。

夢二が手がけた婦人グラフ

例えば、こちら。
夢二が1924年に描いた女性誌『婦人グラフ』の表紙絵。
西洋文明が次々と取り込まれ、日本女性のファッションも和装から洋装へと劇的に変化したこの時代。

それまでとはどこか違う、積極的で強気な新しい女性像が印象的です。

フランスのモード誌『フイエ・ダール』

夢二が、この挿絵の参考にしたのが恐らくこちらでしょう。
20世紀初頭のモード雑誌『フイエ・ダール(Feuillets d’Art)』の一葉で、ジョルジュ・ルパップが1919年に雑誌のために描き下ろしたもの。

西洋人女性が自由なファッションや生き方を楽しむ1920年代を予言するような、力強いインパクトがありますね。
夢二はこうした西洋のファッション・美術雑誌を熱心に研究し、日本での書籍装丁や商業図案に積極的に反映。
日本の元祖グラフィック・デザイナーと呼ばれる夢二の原点は、天性のセンスとともにこうした貪欲さにあるのかもしれません。
来月の新春特別企画では、夢二の肉筆掛軸や二曲一双の屏風などを含める約50点を堂々展示。
当店では2年ぶりとなる夢二の特集です。

会期は通常営業を再開する1/6(水)より1/31(日)まで。
皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。

竹久夢二の取扱作品はこちら

(R・K)