11月は「藤田嗣治 遺作展」を開催予定です
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さて、来月11月のギャルリー・アルマナック吉祥寺では、映画「FOUJITA」の公開に合わせ藤田嗣治の遺作作品を特集!
新たに入手した作品を含めて、稀少な約30点を特別展示・販売いたします。
そしていよいよ来月に迫った公開に向けて、様々な催し物やタイアップが進んでいる映画「FOUJITA」。
東京から行くのは少し大変ですが、岐阜県美術館では「小さな藤田嗣治展」と題する企画展を開催中。
美術館ロビーの特設コーナーでは、映画撮影中の写真や撮影に実際に使われた”マケット”が展示されているそうです。
この”マケット(maquette)”とは、フランス語で模型の意。
画業の傍ら、藤田が建築物の模型を熱心に制作したことは意外と知られていません。
その中でも終戦後間もない1948年、練馬在住時に制作したマケットは傑作。
藤田は、遠いフランスにもう一度戻ることを夢見て、小さな「理想のフランスの田舎家」を作り上げたのです。
食器や家具なども丁寧に作り込まれたこのミニチュア模型は写真家・土門拳氏の心も捉え、このマケットをテーマに当時「婦人画報」で特集が組まれたほど。
林祥子氏著書「藤田嗣治 手しごとの家」より | 林祥子氏著書「藤田嗣治 手しごとの家」より |
また、このマケットへの藤田の強い思いが伺えるのがこちら。
戦争終了後、君代夫人を連れてようやくフランスに戻ることができた直後の1950年に撮影された写真。
友人の写真家ロベール・ドアノーがホテルに仮住まいする藤田夫妻を何気なく写した写真のようですが、藤田の頭のすぐ後ろには例のマケットが・・・
藤田に関する書籍を多く執筆する林祥子氏は、
「この写真の主人公は、藤田夫妻であると同時に画面の中心に意識的に配置されたマケットとパリの街の地図である」
と指摘されています。
その後、パリ南郊ヴィリエ=ル=バクルにある慎ましい一軒家を買い取った夫妻は、一年以上をかけて内装を好みに変えました。
フランスへの憧憬の思いで制作したマケットの内装もきっと参考にしたことでしょう。
日々の暮らしや住まいへのこだわりも非常に強かったという藤田。
今回の映画「FOUJITA」では、そうした彼のアトリエやインテリアも見どころの一つですね。
当店の「藤田嗣治展」は、11/3から30まで開催予定です。
(R・K)