8月「マティス展」が始まりました

2018年8月11日


皆様こんにちは。今月の企画展「マティス展」が本日より始まりました。

モンマルトルの街並みを詩情豊かに描いた先月の「ユトリロ展」からガラリと変わり、
今月は暑い日差しに映える、目の覚めるような画面構成と大胆な色彩が魅力のマティス展。
本展では稀少なオリジナル版画約30点を展示販売しております。

生き生きと踊るような線と色が特徴的な作品たち。
マティス自身が、あるいはそばで制作の様子を見ていたモデルが制作過程についてこう言及しています。

(線について)
「マティスはモデルを一瞥して目印を付けた後は、完全な静寂の中で線を主とするデッサンに没頭します。まるで夢遊状態にあるように、一連のデッサンは彼の感情のそれぞれの部分を物語り、やがて”それについてこれ以上述べることがもはや何もなくなった”とき、そのシリーズは完成するのです」(モデル・リディア)

(色について)
「私は私の色を置きます。それは私の絵の最初の色です。そこに2番目の色彩を加え、そしてこの2番目の色彩が最初の色彩と調和しない時には、それを取り除く代わりに、これまでの2つの色に調和する3番目の色彩を加えます。こうして画面に完全な調和を生みだし、私をその絵に取り組ませた感情から自分が解放されたと感じるまで続けなければなりません」(マティス)

寡黙で自ら多くを語らなかったというマティスの思考回路が垣間見えるような、非常に印象深い言葉です。
今回のマティス展には、完成までのプロセスを重視したマティスが、
一つの主体にいくつも変化をつけて発表した版画集「テーマ&ヴァリエーション」や、
ハサミを持てなくなった晩年に傾倒した切り紙絵による挿画本「ジャズ」、
中世の詩人にインスパイアされて制作した版画集「シャルル・ドルレアン詩集」から
直筆サイン入りの稀少版画にいたるまで多彩な作品をご用意しております。

天才マティスの繰り広げる、軽やかで鮮やかな線描と色彩の世界をご堪能くださいませ。(会期:~8/30)
皆様のお越しを心よりお待ちしております。

(R・K)