6月は「マルク・シャガール版画展」を開催予定です


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ブログをお読みいただきありがとうございます。

フランス、パリを代表する建築物の一つ、オペラ座歌劇場。
その天井画をマルク・シャガールが描いたことはよく知られています。

1963年、フランスの文化相アンドレ・マルローは、当時76歳であったシャガールにこの大仕事を依頼。
ロシア生まれのユダヤ人でありいわば異邦人であったシャガールにとって、芸術の都パリにおいてこれほど大きな公的建造物に作品を残すことはこの上ない名誉だったことでしょう。

制作の依頼を受けたシャガールですが、そこにはオペラ座完成当時の1875年に描かれたルヌヴーによる作品が残っていました。
シャガールは自作のために、この旧作が取り壊されることに反対。
現在天井を彩るシャガールの作品は、旧作の上を覆う形ではめ込まれているのです。
さらに、これほどの大作でありながらシャガールは報酬を一切受け取りませんでした。

“愛の画家”と呼ばれるシャガールの人柄が垣間見れるエピソードですよね。
その人間性や作品への姿勢は、彼が生前語ったこんな言葉にもよく表れています。

「愛だけが私の興味を引くものだから、愛を取り巻くものとしか私は関わりを持たない」
「人生にはたった一つだけ、意味を与えてくれる色がある。それは愛の色だ」

芸術家の池田満寿夫氏はシャガールの作品について、”個人的な愛と人類的な愛との結合”を体現している、と語っています。

確かにシャガール作品の主題は、最愛の妻でありミューズであったベラや周囲の人々への個人的な愛情とともに、人間や動物、宇宙といったもっと壮大で神秘的なものへ向けた普遍的な愛情を描いている気がします。

 

当店の来月の企画展は、生涯を通じてこうした「愛」をテーマに作品を描き続けた20世紀の巨匠画家マルク・シャガールの版画展を開催。
ヨーロッパの近代画家は油彩・水彩の肉筆作品と同様に、版画制作も重要視しており特にシャガールは版画に対する高い情熱で知られる一人。
信頼を寄せるムルロ工房の名刷師シャルル・ソルリエと共に深みのある幻想的な世界を版画で生み出していきました。



今回は新入荷作品を含めた、直筆サイン入りの稀少な版画から小作品までオリジナル版画30余点を販売いたします。
ギャルリー・アルマナックでは約1年ぶりとなるシャガール特集展示。

肉筆では表現できない、版画作品独特の微妙な色合いやマチエールを是非ご覧くださいませ。
皆様のお越しを心よりお待ちしております。
(会期:6/2~6/30)

(R・K)