新春特別企画「ミュシャ展」及び「アンティーク絵葉書展」が始まりました ①


明けましておめでとうございます。
皆様、年末年始はいかがお過ごしされましたか?
旅行に行かれた方もいればおうちでゆっくり過ごされた方もいらっしゃるかと思います。
皆様にとって2015年も実りある素晴らしい年になりますように・・・

さて、ギャルリー・アルマナックは1/4より通常営業を再開しております。
新年最初の企画展はアール・ヌーヴォーの巨匠アルフォンス・ミュシャ。
70点余りの出品作品はミュシャ本人が制作に携わったものばかり。
優美で華麗な女性像を描いた逸品が皆様をお出迎えいたします。

ミュシャは時間や季節、草花などを擬人化した女性像で表現するのが特徴。
一人一人は容姿から衣装、取り巻く装飾まで実に個性豊かに描かれ、細部まで見飽きることがありません。
また、女性の顔は微妙な表情の違いにより、まるで内に秘めた感情をも浮き彫りにしているようです。

今回は、昨年新たに入手した作品も多数ご用意しております。
大きめの装飾パネル作品から数点ご紹介しましょう。

凛とした表情が目を引く「春」 包み込むような優しさの「夏」 羽織ったマントからそっと覗く表情も美しい「冬」※左2作品とは別の四季連作

アール・ヌーヴォー様式の女性像で時代を席捲したミュシャ。
彼が華々しく活躍するきっかけは何だったのか。
そして、19世紀末のヨーロッパはどのような時代だったのでしょう。

チェコのイヴァンチッチェで生まれたミュシャが画家を目指し、当時美術界の中心であったパリに出たのは1887年。
この時すでに20代後半のミュシャにとって、決して早いとは言えないスタートでした。
小さな挿絵の仕事などを続けたミュシャに転機が訪れたのはそれから7年後。
ミュシャ34歳の時でした。

当時のパリは産業革命や都市の発展で庶民の生活が劇的に変化し、カフェやキャバレー、演劇などの大衆文化が開花した時代。
こうした娯楽の需要が高まるにつれ、それを宣伝する「ポスター」が必要不可欠になっていきます。

その頃、市民がこぞって観劇に押し寄せた演劇界のスーパースターがいました。
彼女の名はサラ・ベルナール。
私生児の生まれでありながらその美貌と演技力で一世を風靡した花形女優です。

1894年のクリスマス・イブ。
元日から始まるサラ主演の劇「ジスモンダ」の公演に向け、サラはポスターの発注を担当者に急遽依頼。
全てを数日で完成せねばならぬ無理難題ですが、大女優の注文を断ることはできません。
途方に暮れた担当者が相談した相手が、たまたまクリスマス休暇の予定もなく過ごしていた当時無名のミュシャだったのです。

ミュシャのデザインを一目見て気に入ったサラは即座にミュシャと専属契約を結び、ミュシャは一気に、いや文字通り一夜にして名声を獲得したと言われています。


時の利と才能により一躍時代の寵児になったミュシャ。
その後、商業ポスターにとどまらずカレンダーや菓子のパッケージデザインなどミュシャが発表した作品はどれも爆発的な人気を博します。

特に人気の高いデザインは、より多くの市民が手にできるようポストカードにも刷られました。
本日は、本展出品中の当時のポストカード作品を全てご紹介!

四季・春 夢想
四つの花・アイリス 四つの花・薔薇 四つの花・カーネーション

四芸術・音楽

四芸術・詩

四芸術・ダンス

四芸術・絵画
12ヶ月・1月 12ヶ月・3月 12ヶ月・6月
12ヶ月・7月 12ヶ月・10月 12ヶ月・12月
プログラムのためのデッサン 通り過ぎる風が若さを奪い去る カレンダーのための図案 四つの宝石・エメラルド シャンパン・ホワイトスター
四つの時の流れ・朝の目覚め 四つの時の流れ・昼の輝き 四つの時の流れ・夕べの夢想 四つの時の流れ・夜の安らぎ

「モエ・エ・シャンドン社のメニュー」

 

飾りやすい小さめのサイズは他にも、モエ・エ・シャンドン社のために制作したメニューや挿画本「クリオ」の挿絵がございます。

メニューとは、モエ社がシャンパンを注文した顧客(主にレストラン)に贈った一種の販促ツール。
仕入れた店はここに自店のメニューを書き込みます。
洒落たメニュー表はレストラン客の目を大いに楽しませたことでしょう。

 

 

「クリオ」は、ミュシャが挿絵を手がけた挿画本で古代ギリシャ神話を題材にした珍しい作品。
月桂樹の葉を頭に飾り腰掛ける女性が神話に登場する芸術の女神クリオです。
本作以外にも、ミュシャは芸術の象徴として多くのクリオを描きました。


ミュシャの描く神秘的でどこか聖性を帯びた美女は、19世紀末に流行した象徴主義的表現と相まって、ファム・ファタール(男性を狂わせる魔性の女)的な妖しい魅力を今も放ち続けています。

1/30まで開催中のミュシャ展では本日ご紹介した以外にも多数の作品を用意しております。
約120年ほど前にミュシャが制作した貴重な版画の数々。
これほど多くの作品をご覧いただける機会は国内でもそう多くはございません。
皆様のお越しを心より待ちしております。

次回のブログでは同時開催中の企画展「アンティーク絵葉書展」をご紹介いたします。お楽しみに!

ミュシャの取扱作品はこちら

(R・K)