ロイヤルウースター「カエル文四角花瓶」のご紹介

こんにちは。
ブログをお読みいただきありがとうございます。

10月も終わりを迎え、いよいよ寒くなる季節がやってきましたね。
吉祥寺の街も少しづつイルミネーションの準備など始めているようです。
クリスマスやお正月などイベントごとが多いのは冬の醍醐味と言えるかもしれませんね。

さて、本日ご紹介する作品。
主役はこの動物です。

青々としたツタが這う黄色い壁の上に、こちらに背を向けてしっかりとしがみついているその正体は・・・何とカエルです。
そして、この黄色い壁は一体どこでしょう?

制作年:1877年頃
制作国:イギリス
高さ:8.8cm

何と、カエルがしがみついているのは花瓶なのです。
当店に足を運ばれたお客様が思わずクスッと笑ってしまう、この変わった逸品。
立体感のある四角形の可愛らしいフォルムと、青と黄の鮮やかなコントラストが目を引く作品は、
イギリスで1751年より続く名窯ロイヤルウースターで作られました。

現存する磁器窯としては最も古い歴史を誇るロイヤルウースター。
その発祥は、ロンドンの西北部に位置するウースター市。
調味料「ウスターソース」が生まれた地でもあるそうですよ。

さて、ヨーロッパにおける白磁生産の歴史。
それが、1750年マイセン窯から始まったことは以前こちらでもご紹介しましたね。
ところが海を隔てたイギリスの土壌では、硬質の白磁生産に必要な鉱物であるカオリンに恵まれませんでした。
しかし、地道な製磁研究の末、カオリンを含まない軟質磁器の製造に成功。
カオリンの代わりに牛や羊の骨灰を加える「ボーンチャイナ」を発明します。
その後、イギリスの製陶業は飛躍的に発展していきました。

ロイヤルウースターは、医者や科学者、薬剤師など他業種の人物15人が集まり、株式出資者によって設立された非常にユニークな窯。
しかし、優れたハンドペイントの絵付けや他に先駆けての革新的な技術により、徐々にイギリス窯業をリードする存在となります。
特に、濃密な油彩画を思わせる果実の絵付けが施されたコレクションは、ロイヤルウースターの代名詞とも呼べる非常に美しい作品です。

ところで。
イギリスの有名な陶磁器窯は他にも、ロイヤルクラウンダービーやロイヤルアルバート、ロイヤルドルトン、ウエッジウッド、ミントンなどがありますが、「ロイヤル」が冠されたブランドが多いことにお気付きですか?
ロイヤルとはもちろん王室のことをさし、王室は、気に入ったご用達製品の生産者へロイヤル・ワラントと呼ばれる勅許状を授与するシステムがあり、これを賜ったブランドは名前に「ロイヤル」を冠することができる大変名誉ある称号なのです。
(ロイヤル・ワラントについて詳しくはこちら

ロイヤルウースターは1789年、時の国王ジョージ3世に授与されて以降、途切れることなく現在まで全ての歴代君主からロイヤル・ワラントを与えられている唯一の窯なのです。
当店では、こちらの花瓶以外にも何点かロイヤルウースターをお取り扱いしております。
お近くにお越しの際には、是非お気軽にお立ち寄りくださいませ!

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(R・K)