バカラ「ワイングラス:セビーヌ」シリーズのご紹介

制作年:1936年以前
高さ:12.5cm

こんにちは。
ようやく少しずつですが暖かいと感じる日が増えてきましたが、昨日から突然の雷雨や気温の低下など油断ならない気候ですね。
皆様も十分にお気を付けくださいませ。

さて、ギャルリー・アルマナックには、バカラやサン・ルイ、ルネ・ラリックなど高級ガラスブランドの数々を陳列しているキャビネットがございます。
キャビネット背面がガラスになっていることもあり、店内でもひと際美しく、またガラスアイテムが光り輝いて並ぶ姿は壮観です。

今回はそうしたガラス製品の中から、淡い緑色と薄いガラス表面に映える繊細な模様が印象的な、バカラのワイングラス「セビーヌ」をご紹介しましょう。

ルイ15世

バカラ(Baccarat)といえば言わずと知れた高級ガラスブランドとして今日でも大変有名ですが、その創業は約250年前の1764年。
フランス国王ルイ15世の治世にまで遡ります。

当時、度重なる侵略戦争や王家の浪費などで財政的に逼迫していたフランス。
そこでルイ15世は、経済復興のためガラス業界への参入を決め、ロレーヌ地方バカラ村にガラス工場を作りました。
創業当初の中心は、ステンドグラスやビン類などの生産。
バカラの代名詞でもあるクリスタルガラスの生産が開始されたのは、フランス革命後1816年頃になってからでした。

さて、「クリスタルガラス」とは、そもそも何なのでしょうか。

一般的なガラスの原料は ①珪砂 ②ソーダ灰 ③石灰、の3種類。
これを融解して作られたものが「ソーダガラス」と呼ばれ、現在最も広く普及しているガラスです。

では、この通常のガラスと「クリスタルガラス」はどこが違うのでしょうか。
実はクリスタルガラスは水晶(クリスタル)のように輝く透明な高品位のガラスのことであり、ソーダガラスの成分に「鉛」を加えたものなのです。

鉛の含有率が30%以上のガラスをフルレッドクリスタル、24%以上をレッドクリスタルと呼びます。
この率が高い程、光の屈折率・反射率が大きく、また比重が重くなることで輝きや光沢が増し、指ではじくと高い澄んだ音がするのが特徴です。

今回ご紹介するセビーヌシリーズ。
その名前の由来は、ルイ14世時代の文筆家であるセビーヌ侯爵夫人。
まるで、セビーヌ夫人の気高さが分かるような優雅な一品です。
1899年より続く同デザインは、グラス上部を囲う巧緻な装飾が目を引きます。

用いられているのは<グラヴュール>という技法。
これは、回転する大小の銅製の円盤に粉末状の研磨材を付け、少しづつ模様を削っていく極めて高度な技法。
ごく限られた職人のみが表現できる最高級の技術です。


ガラスの製造から装飾に至るまで、その絶対的な芸術的完成度を保ち続けるバカラ。
「王者たちのクリスタル」の異名を持ち、フランス版の人間国宝とも言える M.O.F(Meilleurs Ouvriers de France=フランス最優秀職人)の称号を受けた職人を多数輩出しています。

当店では、バカラのリキュールグラスからワイングラスまで大小数種類のガラスを常時展示販売しております。
記念日やパーティなどシーンに合わせて、たまにはバカラのグラスで乾杯!
そんな特別なひと時を過ごしてみてはいかがですか?

ご質問などございましたらお気軽にお問い合わせください。
また、他のグラスはこちらでもご紹介しております。

(R・K)