ヘレンド「アポニーピンクコーヒーセット(24点)」のご紹介

制作年:1900年代中頃
ポット(高さ23.3cm)、クリーマー、シュガーポット、
スクエアトレイ、
カップ&ソーサー&ケーキ皿トリオ6セット、
カップ&ソーサー1セット

こんにちは。

今回のブログでは、第一回目に引き続き陶磁器をご紹介いたします。
その際は忘れな草のアップリケが一面に施されたマイセンのカップ&ソーサーをご紹介しました。
しかし、カップの縁まで見事なまでの装飾がなされており、日常的に使うのは至難の業。。。
鑑賞を目的として作られ、人々の目と心を楽しませてくれる陶磁器も素敵ですが、やはり、友人や親戚が集まる場でアンティークの食器を使いティータイムを過ごせたら・・・
気の知れた仲間との大切な時間がさらに優雅で格別なひと時となることでしょう。

そうした素敵な時間の演出に、ハンガリーの名窯ヘレンドのコーヒーセットはいかがですか。

1867年パリ万博の様子

ハンガリー有数の窯業地として発展したヘレンドですが、マイセンやセーブルなど他国の陶磁器ブランドに比べて創業は遅く1826年のこと。
小さな陶器工場として生産を開始した後、1839年にモール・フィッシャーが経営に携わるようになりテーブルウェア磁器に専念。
またデザインの開発や販路の開拓に尽力することで徐々に力をつけていきます。

1851年のロンドン万国博覧会で発表した作品が高い評価を獲得し、ヴィクトリア女王がその場でディナーセットを注文。
それを皮切りに、王侯貴族からの注文が続々と舞い込むことに。
ヨーロッパを誇る名窯ヘレンドの黄金時代の幕開けです。

<インドの華>パターン

人気を後押ししたのが、ヨーロッパで大流行した日本趣味ジャポニスム。
日本の物品が数多く紹介されたことで流行の契機になったと言われるのが、1867年に開催されたパリ万国博覧会です。
時代を的確に読んだヘレンドはこの場に、日本の柿右衛門様式の影響を受けたと言われる<インドの華>シリーズを出品しました。

当時東洋の物流を一手に引き受けていた東インド会社の帆船が運んだため、インドの名を冠しているそうです。

本日ご紹介する<アポニー>シリーズは、その<インドの華>パターンから想を得て作られたデザイン。
<アポニー>とは、このデザインをオーダーした注文主の名です。

1860年代後半、アポニーと名乗る侯爵から急遽開催の決まった晩餐会用に新しい図柄によるディナーセットの注文が入ります。
困ったヘレンドですが、<インドの華>の一部をベースにした全く新しいデザインのセットを伯爵のために考案。
突然の依頼にも柔軟に対応したヘレンドの<アポニー>はその後、時代を超えて愛される永遠のベストセラーとなりました。

創業から100年以上経た現代でも、脈々と続くヘレンドのエスプリ。
それは、機械による同一製品の量産ではなく、陶工や絵付け師の熟練した技術と意匠に重きをおいた、手作業への徹底したこだわり。
まるで息吹を感じるような生き生きとした草花のデザインはハンドペイントだからこそ生まれる至高の芸術品なのです。

ご質問等ございましたら、お気軽にお問い合わせくださいませ。
また、他陶磁器作品はこちらでもご紹介しております。

(R・K)